三重県立盲学校

平成24年度 公開講演会
2012,8,22

講題
「気になる子の理解と対応」
―ソーシャルスキル&特別支援教育の視点からVステップで考える―
講師
名城大学大学院 大学・学校つくり研究科  曽山 和彦 順教授

現代社会は情報化、スピード化の時代になり子どもたちが自由に使える時間や空間仲間も少なくなり、昔に比べて人との関わりが不足している。その中で人との関わりが生む問題の1つ目に、子どもたちの社会性の弱まりがある。人つきあいのコツ、技術であるソーシャルスキルをつけていかなければいけない。

問題の2つ目に子どもたちの自尊感情の低下もある。自分自身のみならず、他者の受け入れも困難になり、いじめや、不登校、気になる子の問題に影響していると考えられる。

子どもの理解・対応をしていくために、次の3つのステップがある。

(1) 子どもとの関係つくりの基礎・基本は「個を理解する」ことである。

基本的なソーシャルスキルは身についているか、ほどよい自尊感情があるか、発達障害はあるかどうかを把握しなければらない。子どもとの関係つくりの第一歩は相手への関心である。何が好きなんだろう、何が得意なんだろうと関心をもち相手のことを知ることが大切である。広汎性発達障害(PDD)についてもきちんと理解しておく事が大切である。PDDへの基本的な対応としては一度に一つの課題を与える、肯定的な表現をする、視覚的な工夫を行う、予定の伝達、その子の文化に寄り添うことが大切である。

(2) 次に「集団を理解すること」が大切である。

集団つくりの基礎・基本としては

  1. ルールつくり
  2. ふれあい(リレーション)
がある。学級規律(ルール)が定着している学級には安心が生まれ、その安心をベースに集団内でふれあいが生まれる。子どもにとって居場所になり満足度も高くなる。そのためには雰囲気つくりが大切である、その手段としてソーシャルスキルトレーニング(SST)や構成的グループ・エンカウンター(SGE)がある。

(3) 最後に「ソーシャルスキルと自尊感情を育む」ための4つの手段がある。

@いいところ探し。

子どものいいところを探して、貯めておき、必要な時に言葉かけを行う。タイミングがあり、かけすぎてもよくない。

A対決メッセージをおくる。

相手の行動を伝え、それによってどのような影響が出ているか、どんなふうに思っているかを伝える。

Bリフレーミング(枠の再構成、見方を考える)。

見方を変え、「短所」と感じるものを「長所」に置きかえる。

C例外探し。

私たちは問題が100%と思いがちだが、その中にう   まくやれる例外がある。それを見つけて、どのような支援をしたらうまくいくかを考えていく。

このような方法を参考に、アンテナを2本立て「ルール違反&遵守」を見逃さずに新たな視座で、情熱だけではなく技を身につけて実践をしていくことが大切である。

講演の途中で、2〜3人のグループにわかれ、二者択一問題でSSTの体験を行った。( 都会&田舎、
社長&副社長、
大人&子ども、
パン&ご飯
などの二者択一を行い選んだ理由を相手に伝える。質問した側はすべての理由をうなずいて聞き受け入れる。)少しの工夫で、楽しみながらこのようなスキルトレーニングを行えることを学んだ。


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