三重県立盲学校

三重県立盲学校 眼科研修会
ロービジョンケアの実際
〜三重大学での臨床から〜

平成17年11月10日
三重大学医学部眼科(外部リンク)
ロービジョン外来担当
一尾 多佳子氏

Low Vision ケアについて

ロービジョンの定義
(日本では)眼前手動弁以上の視力があって、眼鏡をかけても日常生活に支障が出たり困難を感じたりする人をロービジョン者と呼ぶ。
症状・困難さに個人差が大。1人として同じ見え方はない。
当人さえ、わからない!?
  世界統一基準といったものはないが、WHOでは0.05未満は「盲」とされている所が多い。また、盲より弱視の方が10倍多い。
ロービジョンケアとは
視覚的に日常生活に困難をきたしている者に対してその困難をできるだけ軽減させるために行われる行為全般をいう(2005.9.17 簗島)

ロービジョンケアの現状

担当者は?
医療(眼科医、看護師、視能訓練士)、福祉、教育、行政、ボランティア、当事者など
全国的な動き
非常に活発になってきているが、地域差・施設による差が大きい。患者主導のケアーとなってきている。

三重県のLVケア

誇れる良い点
各種機関職種間の風通しが良い。
足らない点
施設がない。行政とのつながりがまだ弱い。

ロービジョン者の悩み

1 直接、視機能低下(機能障害 impairment)に関連するもの(能力障害 disabilityによる)

@視力低下による困難
字が読めない。
人の顔がわからない。
A視野狭窄による困難
歩けない。
つまずく。
B羞明による困難
明るいところが苦手
Cコントラスト低下による困難
段差や薄暗いところが苦手
Dその他
複視・夜盲etc.

2 生活不安(社会的不利 handicapによる)

経済、職業、今後の病状変化、人間関係、結婚、遺伝、楽しみ

眼科医療関係者の役割

眼科におけるロービジョンケアー。 disabilityをどうするか。の内容

《まずは疾患の治療・・・心身機能/構造 body function/structure》

《どうすればQOVが向上できるか・・・活動 activity》←disability への対処

@視力低下による困難に対して
屈折矯正。
視野の把握  
読みたいもの・見たいもののサイズを知る
各種補助具の利用(別記)
A視野狭窄による困難に対して
視野のパターンによる違いを意識。
文字の拡大。凹レンズ。膜プリズム。偏心固視指導
B 羞明による困難に対して
遮光眼鏡。白黒反転。タイポスコープ。
Cコントラスト低下による困難に対して
適切な照明。拡大。色の工夫。(明度、彩度、色相)
グレア(眩しさ)の軽減。
Dその他、複視・・・プリズム
夜盲 ・・・ 強力ライト

《生活不安を和らげる援助は?・・・参加 participation》

教育・福祉への橋渡し(情報提供)
各種の書類の作成  身障手帳、補装具、処方箋
紹介
福祉制度
教育機関
訓練施設
援助団体
患者団体
便利用品・グッズ
各種補助具および便利用品
凸レンズ眼鏡
ワークルーペ
スタンプルーペ
ファイバールーペ  
スタンドルーペ  
ハンドルーペ
弱視眼鏡  
書見台
タイポスコープ
拡大コピー
拡大読書器
単眼鏡
IT機器 CCPC、携帯電話、ICタグなど

後半は、一尾先生の三重大学医学部における8件の事例(年代や職種、眼疾など多岐にわたる)についてお話があったが、割愛する。


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