平成27年度 学校評価報告書    三重県立四日市工業高等学校(定時制)

(1)学校経営の改革方針における今年度の重点取組についての評価結果

項目 行動計画の目標・評価方法 達成状況・評価結果 具体的取組に関する成果や課題
全般事項 1 工業の専門性を高め資格取得に取り組み ます。
2 機械交通工学科・住システム工学科の広報活動を行います
3 生徒理解を深めるよう取り組みます。
4 開かれた学校づくりを進めます。
5 大地震や台風など自然災害に備え防災対策を充実させます
6 より効果的で持続可能性の高い組織作りのために業務の進め方の点検を行います。
1 1学年の計算技術検定、3学年のガス溶接技能講習、全学年の危険物取扱者試験をはじめ、各コースにおいて基礎製図検定や電気工事士試験等、補習を精力的に行い受験し、また自動車整備士の講習を通年実施している
2 全職員で中学校訪問を2回(のべ76校)実施、各学科・コースの学習内容の広報を行 った。
 社会人生徒募集のために自治会回覧を、 四日市市・鈴鹿市の二市で行った。また中勢 以北のほとんどの自治体広報に社会人募集 の記事を掲載した。
3 前後期にそれぞれ1回ずつ中学校訪問を行い、在籍生徒の情報交換を行った。個人 ガイダンスを年2回実施した。その際、外 国人生徒に対するガイダンスには通訳を付 けて行った。
4 授業公開週間を11月に実施。また、ホームページによる学校情報提供を行っている (1月8日現在2回)
5 防災訓練等を2回計画(雨天のため実施
1回)し、登下校の際の地震・津波を想定し た学校外への避難訓練も実施した。
6 委員会を開催した際、原則として職員会議でペーパーで報告し情報共有を進めた。
特別進路指導委員会を4回実施し、進路主任 担任レベルの指導からシステムを整備し組 織的に動くように改善を進めた。成果の一 つとして「面接の手引き」を作成し生徒に 配布し指導した。また、拡大進路指導委員 会で生徒の情報共有を図りながら、より適 切な指導ができるよう工夫した。 
1 5限授業等、補習に関して熱心に行っている現状で数名の合格者を出している。本人の頑張りも含めてある程度の成果は出ている。新たな目標として合格者の数を上げたい。
2 自治会や市町広報での情報発信の結果、昨年度に引き続き多数の問い合わせがあった。学び直しの場としての定時制の役割を再認識した。次年度も同様の広報を継続する必要がある。
3 教育の継続性という観点からも、引き続き、中学校訪問を実施していく必要がある。
4 授業公開において、本校に興味を持つ中学生・保護者・中学校教員等、合わせて49名の見学者があった(一昨年度19名昨年 度28名)。また企業からの見学者もあった。
 また、受検の問い合わせの中で、ホームページで内容を確認した方もあり、引き続きホームページで情報を発信していく必要がある。
5津波や停電を想定した避難訓練も迅速に行うことができた今後も、訓練を重ねることにより、災害に対しての意識の向上に努めることが必要である。
6 組織としての情報共有は進みつつある。引き続きシステム化を進めたい。
 進路指導の組織化や情報共有のシステム化が進みつつある次年度4年次生は人数が多いので、今年度中にシステム設計を完了するとともに、早め早めの指導につなげたい。

 教科指導 1 基礎・基本の習得を目指す学習活動を展開します
2 資格取得への取組を行います。
3 学力差に対応した有効な指導方法等を研究します  
1 1~3年次は、週1回基礎的な計算ドリル(百ます計算式)や書写(書き写し)を 実施し基礎学力の向上に取り組んでいる。 また、就職を希望する生徒に対して盆の期 間を除く夏季休業中に数学を中心とした補 習を行った。
2 「全般事項」の1に同じ。
3 1、2年次は、少人数教育やTTを継続的に実施することにより多様化する生徒への ニーズに対応している。
1 昨年度に引き続き、前期に基礎的な計算ドリル(百ます計算 式)、後期に書写(書き写し)を取り入れた。本校に入学してくる生徒の多くは、計算力が充分でなく文章を書く習慣も身に付いていない実態がある。そのため、進路指導において非常に苦労している状況がある。現在、短期的な成果は測れていないが、1年後2年後の状況の改善を期待している。
2 「全般事項」の1に同じ。
3 少人数教育(習熟度別又はTT)は、多様化する定時制高校の学習指導において極めて重要であると考えている。基礎学力の到達度が充分でない生徒、中間層にあたる生徒、社会人生徒外国人生徒等、学力差や年齢差などが多極化していく中で、それぞれの層の生徒を満足させるためには、さらにきめ細やかな学習指導が必要と考えている。一方で、多極化を生かすためにも、並行してアクティブラーニングの研究等授業改善も進め る必要があると考える。
 生徒指導 1 学校行事への出席率および満足度の向上をめざします。
2 規範意識を育成しま。
3 交通安全意識を向上させます。
4 メディア・リテラシーを高め、情報社会に参画するために必要な態度育成に努めます
5 生徒自ら健康管理できるよう生徒の意識の向上をめざします。
1 文化祭では、リニューアルした四日市市立博物館でのプラネタリウム鑑賞と、映画 館での映画鑑賞を行った。
2 毎月1回1週間、登校指導、下足指導、下駄箱指導を実施した。
前後期最初の7日間給食指導を行った。
3 2ヶ月毎に1週間、下校指導と駅周辺の巡回を実施した。
 7月に警察より講師を招き交通安全講話 を行い、改正道路交通法に係る自転車の安 全利用について指導した。
4 ケータイネットワーク講話を実施した。
また、全校集会で生徒指導部よりいじめ防 止の呼びかけを行った。
5 眼科及び歯科検診を4月特別時間割の中で実施し、また内科検診もれ者の日程を複数 回予定するなど、定期健康診断受診機会の 保障に努めた。また保健だよりで検診の説 明をするなど、生徒の意識向上に努めた。
保健だよりを毎月発行した。
 四日市税関より講師を招き、麻薬犬の実 演を含め、薬物乱用防止講座を実施した。
 性教育講演会を、岐阜大学より近藤真庸 教授を招き実施した。
 また、生徒会行事として、救急法の実技 講習会を実施した。
1 2日間で約200人参加。人数も多く、満足度も高いと感じている。今後は、生徒会役員が企画する生徒主体の行事への取組や、地域の施設を利用した取組等を考えたい。
2 スリッパのマナー改善、下足の脱ぎ捨て防止、ゴミのマナー 向上、給食室の使用マナーの向上に努めた結果、学校生活全般は落ち着いている。今後も継続が必要である。
3 自転車の乗車マナー及び安全利用(夜間のライト点灯、イヤホン装着して乗車しない等)の指導をし自転車安全利用五則への意識向上を図った。また駅利用マナーの向上に努めた。少しずつ定着しつつあるが、交通事故が3件あったので、さらなる指導が必要である。
4 スマホのトラブルは発生していないが、社会で多く発生しているスマホトラブルへの意識喚起を引き続き行う必要がある。
 いじめについてのアンケートを実施。生徒間のいじめ問題は確認されていないが、引き続き注意深く見守る必要がある
5 定期健康診断受診率94.1% (昨年93.4%)と若干向上したしかし、学校検診はあくまでスクリーニングであり、確定診断は医療機関で行われるものである。したがって、100%を目標に引き続き意識向上や日程の工夫に取り組みたい。
 生徒アンケートでは、薬物乱用防止講座の理解度97%、性教育講演会の満足度82%と生徒の理解度満足度は高かった。今後も内容等を工夫しながら、継続していく必要がある
 進路指導 1 生徒の希望業種の把握と就職に対する意識の向上を図ります。
2 幅広く求人開拓を行います。
3 就職希望者の内定獲得
1 進路希望調査を行い状況把握を行った。 また面談を延べ2回以上行った。
  キャリア教育の一環として、進路講話を 実施した。ミスマッチ防止を目的に希望の 会社への応募前職場見学を勧め、また未定 の生徒には合同就職相談会等へ積極的に参 加させ、就職意識の向上に努めた。
2 求人開拓のため、会社訪問を行った。ま た、生徒・担任・サポートステーション・ 修学就労支援員・就職支援相談員との連携 を密にし、幅広い求人開拓ができた。
3 就職希望者に対して、夏休みに基礎学力 補習を実施し、就職試験対策として、面接 ・作文等の指導を行った。以上の結果とし て、新規就職希望者の全員が一次(9月1 6日)の就職試験に受験し、年内に全員が 内定した。
1 応募前職場見学を勧め、何回も合同就職相談会等へ参加させることによって、ミスマッチの防止や就職意識の向上に効果がみられた。
 さらにキャリア教育を充実させるため、日頃のアルバイトなどを通して、職業観や勤労観を育てる取り組みを行う必要があるが、家庭環境等で行えない場合がある。
2 さまざまな機会を利用して、積極的に会社訪問を行い、新規会社の求人開拓ができた。新規会社の求人開拓ができても、生徒の希望がなく、送ることができなかった会社があった。
3 新規就職先の実現には、基礎学力の充実が不可欠で、普段の授業から基礎学力の向上に努め、特に長期休業中の補習をじっくりと取り組む必要がある。以上の取り組みを通じて新規就職希望者の正規雇用に努めたい。
 人権教育
1  基礎学力の向上に取り組みます。
2 人権教育を充実させます。
3 生徒による人権教育の推進をめざします
4 多文化共生を目指す取り組みを行います。
5 教職員研修を充実させます。
1 1~3年生に対して週1回の100ます計算及 び書写のプリントを配布し実施。
2 9月に人権・国際理解教育の講演会を実施 し、12月には人権LHRを実施した。
3 現状では、生徒による人権教育の推進は 行われていない。
4 9月に国際理解教育講演会を実施した。
5 7月に人権フィールドワークを実施した。 また、12月に人権LHRに向けての職員人権 研修会を実施した。
1 昨年に続き、100ます計算と書写の2種類にして実施した。実施方法や内容、効果については今後も継続して実施していく中で検討していきたい。
 4年生を対象とした就職試験に向けての補習および、卒業後の 就労のための基礎学力の補習を、今後も継続して行う必要がある。
 2~5 人権講話、人権LHR、職員研修、職員フィールドワーク、などを計画し、実施することができた。特に人権LHRについては、本年度は「性的マイノリティ」という社会的に広がりを見せているテーマにして、新たな人権教育の視点と内容について啓発することができた。今後も各々についてさらに充実した内容となるよう取り組んでいく。
工業科 1 実習等の授業時における生徒の安全確 保に努めます。
2 夜間定時制における工業教育の充実をめざしま。
3 1年次生が2年次に向けてコース選択を円滑に行えるよう、取り組みます。
4 資格等の取得に向けた取り組みを充実します。
1 怪我、事故防止のために、T・T授業の 促進や実習服・実習帽の着用指導を強化し た。また生徒の意欲や気づきを観察するよ う努めた。
2 各コースにおいて年度の実習内容の確認 ・精査を行い生徒に対して指導している。
3 各クラス2~3回の面談を実施し、生徒 の状況把握・指導をしている。面談時その 時点での希望コースも各生徒把握しておく
4 1学年の計算技術検定、3学年のガス溶 接技能講習、全学年の危険物取扱者試験を はじめ、各コースにおいて基礎製図検定や 電気工事士試験等、補習を精力的に行い受 験し、また自動車整備士の講習を通年実施 している
1 各科・各コースとも更なる専門教科の充実を図るとともに、生徒の実状に応じた実習の内容を考慮し精査を行わなければならない。
2 専門教科の充実には、基礎学力の定着が不可欠である。学校 全体で検討する課題ではあるが工業科が牽引して行く必要がある。
3 不本意なコース選択や、選択が受け身とならないように機会 があるごとにコースの学習内容や特色を生徒に認識させていく必要がある。今年度はコース選択用紙を配布する際に各コースから注意事項などを説明するための時間を設けた
4 生徒の資格取得に対する意欲の向上を促し受験者の数を増やし、補習等により合格者の増加を図りたい。

(2)組織の状態の評価結果    『アセスメントから明らかになった状況』

強み ○三重県北中部では唯一の定時制工業高校であり、工業に関する高い専門性を持っている。また通学の利便性も高い。
○本校の提供する工業の専門性(技術・技能・資格等の取得など)に魅力を感じ、本校での学び直しを希望する社会人が増加している。
○就職希望者を正規雇用で進路保障していくことが本校の社会的使命であることを、全ての職員が共通に理解している。
○本校の社会的使命を果たすために、学科の壁を超え協力協同して生徒に対応することを、全ての教員が共通理解している。
○進路指導をはじめ、全職員が個々の生徒に丁寧な対応を行っている。
○実績として、就職希望生徒の正規雇用での内定達成率がほぼ100%であり、中学校等からも評価されている。
弱み ○生徒のほとんどが働きながら通学しており、授業の前後に、補習やクラブ活動等の時間を確保することが難しい。
○家庭との連携を図ることが、十分にできない場合がある。
○職員数が限られるため、多様な生徒の要望に十分対応することが難しい場合がある。

(3)学校関係者による評価結果    『学校関係者評価から明らかになった改善課題』

関係者評価 ○正規雇用での内定率ほぼ100%の達成に向けて、学校として取り組み続けていることは高く評価できる。北勢地区唯一の定時制工業 高校としての社会的使命を考えたとき、今後もこの状況を継続できるようにしてほしい。生徒数が増加している中、目標達成には困難 が予想されるので、対策を取る必要がある。

(4)組織力向上のための取り組み    『次年度に向けた取り組み』

○正社員での新規就職希望者の正規社員での就職内定率100%達成に向けて、低学年からの指導計画を整備するなど、組織的な取り組みを一層進めます○1~3年次の授業での基礎学力補充ドリル、1・2年次普通教科のTTまたは習熟度別授業、4年次の基礎学力養成講座など、基礎学力向上のための取組  みについて効果の検証を行い、一層の基礎学力向上に取り組みます。
○アクティブラーニングやユニバーサルデザインの授業について研究し、授業での学力向上と授業を通じてのキャリア教育に取り組みます。