H29 卒業証書授与式 校長式辞

平成29年度 全日制卒業証書授与式 式辞

 四十年ぶりの大寒波もようやく終わりに近づき、この名張の地にも春の息吹の足音が感じられる早春の良き日、平成29年度三重県立名張高等学校全日制卒業証書授与式を迎えられた卒業生の皆さん、心からお祝い申し上げます。また、この日を迎えるにあたり、学校生活を陰に日向にと支えていただきました保護者の皆様には、お喜びも一入のこととご拝察申しあげます。ご卒業、誠におめでとうございます。
 さらに本卒業式を挙行するにあたり、多くのご来賓の方々のご臨席をたまわりました。高いところからではございますが、厚く御礼申しあげます。
 さて、先ほど卒業証書を授与しました195名の皆さん、改めてご卒業おめでとうございます。皆さんは、本校所定の教育課程をすべて終了し、本日を迎えることができました。その努力と研鑽をたたえ、在校生と職員一同、心から拍手を送りたいと思います。
 また、本日の喜びは、皆さんの努力のたまものである事はもちろんですが、この日まで、皆さんをはげましてくださった保護者や、周囲の皆様方のおかげであることを忘れてはいけません。
 そして、皆さんは、自律、協調、創造という校訓のもと、それぞれが目標を持ち、三年間、学業、学校行事、部活動などを全力でやり抜き、充実した高校生活を送ってきました。そして今、本校での高校生活を終え、新しい生活へ向けてスタートしようとしています。皆さんは、これから伊賀地域をはじめとする地元を支えていく人材として大いに期待されているのです。
 本校は、昨年度、学校創立百周年を迎えました。その間、多くの生徒がこの学び舎を卒業し、様々な分野で活躍しています。その卒業生の1人であり、京都大学第20代総長も勤められた沢田敏男先生が、昨年の秋にお亡くなりになりました。創立百周年事業にも深く関わっていただきましたが、今年度完成した百周年記念誌をお目にかけることがかなわなかったことが大変残念に思っています。
 先生は農業用ダム設計の第一人者で、岩石を積み上げる技法にコンクリートを使う方法を組み合わせた複合ダムの設計法を考案し、耐震性を向上させ、農業の近代化に尽力されました。このことにより、多くの人々を幸せにしてきたのだと思います。学校が社会の中の位置づけとして、社会貢献を担う生徒を育てることが、一つの使命であります。世のため人のためにと研究を進め、努力を重ね取り組んだ先輩がいたことを、誇りに感じ、記憶にとどめて欲しいと思います。今は、先生のご冥福を祈るばかりです。
 先生は多くの言葉を「書」にして残しています。本校の校長室にも「学而不厭(がくじふえん)」という書が飾られています。論語の一説で、学習し続けて飽きないこと、学ぶことを厭わないことを表した書です。高校での学習はこれで修了ですが、ここで学んだ内容を基礎・基本として、これからの生活でも、学び、考え、そして実行していくことでしょう。新しい環境で、個々に応じたよりよい学びを続けて欲しいと思います。
 これからの皆さんの人生、いつも順風満帆に進むとは限りません。苦難に出会ったとき、失敗を恐れたり、体裁にこだわったりすることなく、自らが信じたことを前向きに実践していけば必ず道は開かれると思います。それでもうまくいかないときは、いつでも母校である名張高校を訪ねてきてください。わたしたち教職員はいつでも待っています。
 結びになりましたが、本日ご臨席いただきましたご来賓の皆様、保護者の皆様に心より感謝申し上げます。
 今後とも、本校卒業生の輝ける未来を温かく見守り、そして支え続けていただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

平成30年3月1日
三重県立名張高等学校長




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