紀南高等学校いじめ防止基本方針
                                                    平成31年4月1日改定
1.はじめに

 紀南高等学校(以下、「本校」という。)では、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下、「法」という)第13条及び三重県いじめ防止条例(平成30年三重県条例第3号。以下、「条例」という。)第13条第1項の規定に基づき、いじめ防止等のための基本的な方針(平成25年文部科学大臣決定)及び三重県いじめ防止基本方針(平成26年1月策定、平成31年3月改定)を参酌し、いじめの防止等(いじめの未然防止、早期発見・早期対応、いじめの対処をいう。以下同じ)のための対策を総合的かつ効果的に推進するために本方針を策定するとともに、本方針に基づき本校のいじめの防止等における措置を実効的に行うために「いじめ問題対策委員会」を設置する(いじめ防止対策推進法第 22条)。

2.いじめの防止等の対策に関する基本的な考え方

 本校では、いじめの防止等に関して以下のように考える。

○いじめはすべての児童等に関係する問題であり、いじめの防止のため日頃から学校教育全体を通じて、豊かな心や道徳性、自立性をはぐくむことにより、児童等の将来における自己実現を可能にするため の力を育成するものである。

○学校が行ういじめの防止等の対策については、いじめが、いじめられた児童等の将来の心身に深刻な影響を及ぼす許されない行為であることについて、児童等が十分に理解し、いじめの防止に向けた主 体的かつ自主的な行動ができるように取り組むものとする。

○いじめへの基本的対応としては、未然防止、早期発見・早期対応、いじめの対処が重要であり、学校内外を問わず、いじめが行われなくなるよう、学校、家庭、地域が一体となって子どもたちを見守り ながら、いじめの兆候を早期に発見し、速やかに対処できるように取り組む。

3.いじめの定義

(定義) ~法第2条第1項より~ 第2条 この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍してい
る等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感 じているものをいう。

~条例第2条第1項より~ 第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 一 いじめ 児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍している等当該児童生徒と一定の人的関係にある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じている ものをいう。 (二~六 略) 本方針におけるいじめの定義は、いじめが「いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものである(法第1条)」ことから、法第2条及び条例第2条と同 様に定義する。 なお、本方針におて「学校」「児童等」「保護者」とは、法第2条第2項~第4項で定義されるも のである。

4.いじめの防止等の対策のための組織とその役割

 本校では、いじめの防止等に関する措置を実効的に行うためいじめ問題対策委員会(以下、「対策委 員会」という。)を設置し、主として以下のような役割を担う。

*構成員は、校長、教頭、生徒指導・支援主事、各学年主任、生徒指導・支援部教員、教育相談係、人権教育担当、当該事案にかかる生徒の担任、必要に応じて、教務主任等他の教員、心理や福祉の専門家、弁護士、医師などの外部専門家や関係機関(紀宝警察署など)等が加わり、緊急的な組織、拡大 的な組織とすることができるものとする。

○対策委員会は、いじめの防止のため、紀南高等学校いじめ基本方針を策定し、毎年度当初にその見直しと確認を行う。また、策定した基本方針については教職員、児童等、保護者、地域等への周知やホ ームページでの公表など、積極的に情報発信を行うものとする。

○対策委員会は、学校が組織的にいじめ問題に取り組むため、社会体験活動や公開授業、学期1回以上のアンケート調査や教育相談、インターネットを通じたものを含めたいじめの防止対策および教職員への啓発が適切に実施されるよう年間計画を定めるものとする。また、対策委員会が適切にいじめの防止等の対策の進捗状況を把握できるよう、対策委員会の開催予定についても年間計画に定めること とする。

○対策委員会は、個別面談の進捗状況を把握し、教育相談の相談事例の集約、教職員や児童等からの情 報集約を行い、必要に応じて対策委員会を随時開催する。

○いじめの認知は、対策委員会を通じて行うものとし、対策委員会は、いじめの疑いがあるような行為が発見された時には、速やかに必要な調査を行い、事実関係の有無を確認して認知を行う。認知したいじめについては、必要に応じてスクールカウンセラー等の助言を受けつつ、保護者との連携のもと、被害児童等へのケアや加害児童等への適切な指導を行うものとし、その結果を「生徒事故報告書」に より県教育委員会生徒指導課に報告する。また、全教職員に必要な情報を提供するものとする。

○対策委員会は、いじめに対する学校の組織的対応の中核を担い、当該いじめの解消に至るまで対策委 員会を中心として対応する。

○学校の行ういじめ防止等にかかる対策については、学校評価に位置づけ、取組評価アンケートを実施 して達成度を測定する。

5.いじめの防止等のための啓発活動

○学校は、対策委員会で策定した本方針について、教職員、児童等、保護者、地域等への周知やホーム ページでの公表など、積極的に情報発信を行う。

〇年間計画にいじめ防止月間(4月、11月)を定め、いじめの防止等に関する啓発活動を積極的に行 う。

〇児童等、保護者へいじめの防止等に関する機関又は団体が行っている相談窓口等の周知を図る。

6.教育相談体制

 本校は、以下の教育相談体制を整えるものとする。

○学校は、児童等のいじめの実態を把握し、いじめが行われにくい学校づくりに資するため、学期に1回以上のアンケート調査を行い「いじめ問題対策委員会」に報告するとともに個別面談等の必要な対 応を行う。

○学校は、スクールカウンセラーや教育相談専門員等の活用を図るとともに、機に応じた一斉個別面談 をいじめの防止等のための年間計画に位置づけて実施するなど、教育相談体制の確立に努める。

○学校は、いじめの防止等に関する機関又は団体が行っている相談窓口等の周知を図り、いじめを訴え やすい体制を整える。

7.未然防止の取組

 本校は、いじめの未然防止に資するため、以下の取組に努める。

○対策委員会は、いじめの防止に資するため、すべての教育活動を通じた道徳教育の充実を図るとともに、社会体験学習等を計画的に実施する。また、すべての児童等が学習を通じて絆を深め合い、安心して学校生活を送るため、自らが規範を守り行動するという自律性を育むとともに、わかる授業を創 造するため公開授業を計画的に実施する。

○対策委員会は、教職員に対するいじめを取り扱った研修その他の啓発を定期的に計画して実施する他、PTAや学校運営協議会、地域の関係団体等といじめ問題や本方針について話し合う場を設けるなど、 家庭や地域に対する連携や啓発のための活動を行う。

○学校は、インターネットを通じて行われるいじめを防止し、また効果的に対処することができるよう、 児童等や保護者に対して講演会や親子学習会等の啓発活動を行う。

○学校は、人権教育活動の充実を図り、互いを認め合う集団づくりに努める。

8.早期発見の取組

本校は、いじめの早期発見に資するため、以下の取組に努める。

○対策委員会は、児童等の訴えや教職員からの情報など、いじめの疑いに関する情報や児童等の問題行 動などに係る情報の収集と記録、共有を行い、児童等の実態把握に努める。

○対策委員会は、学期に1回以上のアンケートや個別面談等の実施後に集約と分析を行い、いじめが疑 われる事例には、迅速かつ適切に必要な調査を行うこととする。

○対策委員会は、いじめの疑いに係る情報があった時には緊急会議を開き、情報の迅速な共有、関係児 童等への事実関係の聴取等を行い、実態を把握する。

9.いじめの対処

 本校は、いじめの発見や通報を受けた場合、以下のように対応することを基本とする。

○いじめの発見や通報を受けた場合は、対策委員会を中心に速やかに組織的に対応し、教職員全員の共通理解、保護者の協力、関係機関や専門機関との連携のもとで取り組むとともに、いじめを受けた児 童等やいじめを知らせてきた児童等の安全を確保する。

○対策委員会は、いじめの被害側と加害側で紛争が生じることのないよう、情報共有等に努めるととも に、いじめが解消に至るまで必要な措置、支援を行う。

○対策委員会は、加害側と被害側の在籍校が異なる場合には学校間の連絡に努め、いじめが犯罪行為に 該当する場合には、所轄警察署と連携して対処するなど適切に関係機関との連携を図るものとする。

10.重大事態への対処

 本項で言う「重大事態」とは、法第28条で示される、以下のような事態を指し、「重大事態」が発生 した場合は以下のように対応することを基本とする。

(重大事態) 一 いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがある と認めるとき。 二 いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている 疑いがあると認めるとき。

※「生命、心身又は財産に重大な被害」の例 児童等が自殺を企図した場合、身体に重大な被害を負った場合、金品等に重大な被害を被った場 合、精神性の疾患を発症した場合 など。 ※「相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている」の「相当の期間」とは、不登校の定義を 踏まえ、年間30日を目安とする。

○重大事態が発生した際には、県教育委員会に緊急報告を行い、学校が主体となって調査を行う場合に は、対策委員会を中心に調査組織を設置し、必要な関係機関等の支援を得て行うものとする。また、 ※当該事案の調査主体は、県教育委員会の判断となる。

○児童等や保護者からいじめられて重大事態に至ったという申し立てがあったときには、学校の判断に かかわらず、重大事態として報告・調査等にあたる。

○調査により明らかになった事実関係については、いじめを受けた児童等およびその保護者に対して情 報を適切に提供するとともに、調査結果を県教育委員会に報告する。