野球部 近大高専戦の初勝利に思う

 (2012.11.22/15:09公開) (野球部の顧問や選手から取材して執筆)

 

 三重県名張市-。
 人口8万人強のちいさな町に、4つの高校(公立3・私立1)があります。

 

 近畿大学工業高等専門学校(以下、近大高専)は、2011年春、県南部の熊野市から名張市春日丘に移転してきました。
 私立校ということもあり、部活動にも力を入れていて、県外から入学する生徒もいます。

 

 去る日曜日(2012.11.18)、本校野球部が、昨春以来7度目の対戦で初めて、同校に勝利しました。「1-0」の辛勝です。

 

 伊賀地域(名張市・伊賀市)の地区大会においてです。
 県大会にはつながらない、「準公式戦」でした。

 

 地力に勝るチームを上まわるには、「これしかない。」という守り勝ちの展開でした。
 よく守ってくれました。

 

 主将で主戦投手のY(名張南中出身)が、見事に完封(完投)勝利を果たしました。
 実際には、この日は変化球でストライクが取れず、捕手I(名張中出身)と相談して、ストレートで押していきました。最後の打者も、カウント2ボールから、3球連続ストレートで空振り三振を取ったほどです。

 

 これまでの対戦は、コールドゲームが成立する点差で大敗することが多く、その歩みを知っている職員や、野球部員と懇意の友人等は、部外者ながらとても喜んでいました。引退した3年生部員も、喜んでいました。
 翌月曜日(2012.11.19)に、野球部に向けられた、校内のちょっとした敬意に満ちたまなざしが、他人事ながら本当に嬉しかったです。それは日常の練習姿勢だけでなく、部員の挨拶・生活態度や、顧問の先生の「この学校を良くしていきたい」という学校運営の改善に懸ける姿勢を踏まえてのことです。主顧問の先生K(名張中出身)は、生徒支援部の「若き」主任です。

 

 試合の翌日、主将をはじめ中心選手の数名に話を聴きましたが、この勝利の伏線はいくつかあったようでした。

 

 今から約一ヶ月前、市内のハンバーガーチェーン店を本校のバッテリーが利用した折に、彼らが肩から下げていた「名張高校野球部」のネームが入ったカバンを目にした相手校の野球部員が「あの高校、自分たちと試合をするたびに差が開いていくよね。」という趣旨の発言をしていたらしく、このことがバッテリーの気持ちをかなり高ぶらせたようでした。
 勝利から一夜明けて、私が話を聴いた時の彼らは、このことに相当なこだわりを持っていました。

 

 ちいさな町のことなので、この種の話はいくらでもありそうですが、もしかしたら他のクラブでも、ありうることではないでしょうか。逆に本校生徒が、他校の生徒に対して言っている可能性もあります。きっとあるでしょう。
 また中学校時代に一緒に競技を頑張っていた同級生が、相手校や他の市内校に散見していて、時にライバル心を燃やすこともありながら、その交友関係は(程度の差こそあれ)続いているようでした。
 その交友関係の中で、何か刺激をもらうことも多いのかもしれません。

 

 ちいさな町の窮屈さ、といったらそれまでですが、かえってそれが自らの成長を促す要素になっている部分もあるなぁと感じました。

 

 「よく勝ったなぁ」と、今もどこかで信じられない気持ちです。

 

 主顧問と主将はそれぞれ別に、執筆者に勝利を報告してくれましたが、その際の話し方や雰囲気が、何とも好きでした。

 

 うれしい気持ちを抑えながら、この高揚感を何とか戒めようとする顧問の姿勢にも、好感を持っています。でも、うれしそうです。

 

 これで終わりではないことは重々承知の上で、あえて言いたいです。

 

 「君たちが、一段高い『高み』に進んでくれたことがうれしい。」

 

 

 

 

 

 

 

[写真は、本校・体育館にて、第2回高校生活入門講座の開会行事で校歌を歌う、野球部・新体操部・ソフトボール部]
(2012.11.17/9:28撮影) 




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