H30 入学式式辞
寒さが厳しい年は、桜の開花が早いとのこと。今年の桜も既に満開を終え、木々の緑が目に見えて濃くなり、生きるものすべてに生命の息吹がみなぎる希望の季節を迎える中、本日、ここに平成30年度全日制課程の入学式を挙行できますことは、大いに喜びとするところでございます。
本日はご多忙の中、多くのご来賓の方々のご臨席をたまわりました。高いところからではございますが、厚くお礼申し上げますとともに、平素から本校の教育活動の推進に格別のご理解とご支援をいただいておりますことに、改めて感謝申し上げます。
ただ今、入学を許可いたしました新入生200名の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんの入学を在校生、教職員一同、心よりお待ちしておりました。
本日の喜びは、皆さんのたゆまぬ努力によることは言うまでもありませんが、陰日向で優しく見守ってくれた保護者のみなさん、3年間温かいご指導で支えてくれた中学校の先生方、また地域の方々のおかげであることを忘れてはいけません。
本校は、大正5年に創立された名賀農学校をその始まりとし、名張高等女学校と統合され、今年度 創立百二年目を迎えるとともに、諸先輩方のご活躍により、地元に愛され信頼されている県内でも有数の伝統校です。平成14年に総合学科として新たなスタートを切り、生徒の興味・関心・適正に合わせて将来の夢の実現に向けたサポートをしています。
名張高校の校訓「自律・協調・創造」、すなわち、自己の向上のために厳しく鍛え、人と手を取り合って生きる力を身につけ、自分と社会の幸せのために何かを創造する努力を惜しまない、それを心得とし、この伝統にふさわしく、有意義な高校生活を送ってほしいと思います。そして、地域に信頼され、社会に活躍する人材として育ってほしいというのが私たちの願いでもあります。
さて、今、私たちの暮らす社会は急激に変化しています。それに伴い、学校教育も「主体的・対話的で深い学び」をはじめとする取組が進められています。高大接続改革として「高校生の学びの基礎診断」を用いた基礎学力定着に向けた授業改善が、また、「大学入試センター試験」に変わり、記述式問題や英語の外部検定も利用も検討されている「大学入学共通テスト」は、今年度高等学校に入学した皆さんからが対象となります。
しかし、生徒の皆さんが取り組むことに変わりがあるわけではかく、しっかりと「学ぶ」ことが重要であり、そのための仕組みが整えられているのです。
奈良女子大学の浜田寿美男先生が、「育つこと、学ぶこととは、力を身につけ、その身につけた力を使って、新たな世界を広げること」と語られています。それは、「歩く力が身につくということは、その力を使って歩行の世界が広がること」、「話す聞く力が身につくということは、その力を使ってコミュニケーションの世界が広がること」、「文字の力が身につくということはその力を使って、読み書きの世界が広がること」、どれも当たり前のことなのでしょうが、学び育つことで世界が広がるという教育の本質を改めて感じているところです。本校は普通科と専門学科を融合した総合学科として、多様な「学び」を用意していることが特徴でもあります。一つ一つの「学び」がおのおのの世界の広がりに繋がるように、努力の質を高めて欲しいと思います。
最後になりますが、保護者のみなさま、ご入学を迎えられたこと、誠におめでとうございます。
教職員一同、責任を持って、生徒の教育に当たる所存です。しかし真の教育は学校だけで実践できるものではありません。家庭と地域と学校の三者が一致協力して行っていく必要があります。保護者のみなさま、どうか、生徒の自己実現と、本校のますますの充実と発展のために、ご協力いただきますようお願いいたします。
新入生の皆さんの高校生活が実り多きものとなることを願い式辞といたします。
平成30年4月9日
三重県名張高等学校長 山口 雅弘