2019 4月8日(月)入学式 校長式辞
名張高等学校 全日制 平成三十一年度 入学式 式辞
朝の雨が、軽塵を潤し、桜の色をさらに映えさせているこの佳き日、名張市長 亀井利克様をはじめ多数のご来賓の皆様のご臨席を賜り、ここに平成三十一年度三重県立名張高等学校 入学式を挙行できますことは 本校にとってこの上ない喜びです。職員を代表し、心よりお礼申し上げます。ありがとうございます。
また、これまでずっとお子様を暖かく支えて来られた保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。心よりのお祝いを申し上げます。
ただ今入学を許可した二百名の新入生の皆さん、入学おめでとう。入学にむけた皆さんの努力に敬意を表し、在校生、教職員一同、皆さんを心から歓迎します。
さて、この名張高等学校の前進は名賀農学校、今から103年前、大正6年に開校しました。地域の方々の「この名張の地に最新の技術を学ぶことのできる学校を是非とも作りたい」という非常に強い熱意の元、開校しました。
私は4年前まで名張高校に勤務し、100周年に向けての準備をしておりましたので、その当時の生徒の作文や手記に触れることができました。その当時の生徒の思いの大半は、名賀農学校で最新の技術に触れることの喜びに満ちあふれていました。
当時、日本の産業の中心は農業でした。名賀農学校で、稲作はもちろん、野菜や酪農、養豚などの最新の技術を学ぶことができれば、将来の経済的な安定はもちろん、社会的な地位をも得ることができました。百年前に名賀農学校で学ぶことは将来の安定を約束されたと同じ事でした。
それでは、今、皆さんがこれから3年間この名張高等学校でしっかり勉強し、卒業したら、百年前の学生と一緒のように将来が約束されるでしょうか。残念ながら、それは無理です。無理なのは名張高等学校だけではなく、全国の高校や、大学や、専門学校でも同じことです。
例えば、医師、お医者さんは大学を卒業すれば、ずっと医療の最先端でいることができるでしょうか?看護師さんもそうです。優秀な成績で看護系の教育機関を卒業したからといって、これからずっと優秀な看護師でいることは不可能です。日々、一刻一刻と、新しい医療機器が開発され、新しい技術が普及し、新しい薬が生まれています。医療の現場も日々勉強だと聞きます。
製造業もそうです。人工知能やロボットの凄まじい発展によって製造現場も日々、変化しています。農業もそうです。名張市にも野菜工場があることは多くのみなさんが知っていることでしょう。
運輸に関する業界も大きな変化を遂げようとしています。自動運転のバスやタクシーやトラックが日本中を動き回る時代はすぐそこです。運転をする人は減っていくことになるでしょうが、この自動運転にかかわるシステムを開発し、メインテナンスする人材は必要になってきます。
教育の現場もそうです。アクティブラーニングを初めとする授業のあり方が変わっていったり、課題解決型の教育目標が求められたりするなど、私たち教員も日々、勉強の毎日なのです。
では、実社会に出てから毎日勉強するのなら、この名張高校での学習は何のためにあるのでしょうか。私は2つあると思います。
1つは学ぶことを学ぶためです。学び方を学ぶと言ったほうが良いかもしれません社会に出て、新しい課題に直面したとき、名張高校の授業で学んだことが役に立つはずです。また、周りの人たちと協力しながら学んでいくこともこの名張高校でみなさんは学ぶことになります。
もう1つは、今後の学習のために、基礎的な学力を確実なものとすることです。人工知能発達や、グローバル化、産業構造の変化や少子高齢化などにより、今後、急激に変化する社会の中で、しっかりと幸せをつかみ取るために、基礎的な学力はあなどれません。
今までの知識や技術がすぐに古くなっていく、そんな社会の中で、この時代を生きる私たちがしなければならないことは、「学び続けること」です。
高校での学習は「学び続ける姿勢を学ぶ」ことであり、「学び続けるため基礎」を身につけることです。このことは3年後、進学する場合にも就職する場合も同じです。今、社会を生きていくということ学び続けるということなのです。
さあ、みなさん、この名張高等学校で、大いに学び、学力と学び続ける姿勢をしっかりと身につけ、この大きな時代の変化を楽しみましょう。その上で、本当の幸せを探しましょう。その支援ができるよう、私たち教職員も勉強と努力を続けます。
保護者の皆さまにお願いを申し上げます。私たちは本日からお子様をお預かりし、3年後には大きく成長した姿で、卒業生として送り出したいと考えています。
しかし、教育は学校だけで出来るものではありません。お子様の成長には、学校と家庭が互いに連携し、協力していくことが不可欠です。
ご家庭におかれましては、お子様と学校での様子をお話しいただきたいと存じます。もし、ご心配なことがあれば、遠慮なく担任までお知らせください。
あわせて、お子様が健康で規則正しい生活を送れるよう引き続きサポートをお願い申し上げます。
よろしくお願いいたします。
最後に、私たち教職員は、緊張と不安と期待に今、心をふるわせている新入生の皆さんの高校生活を全力で支援することをお約束して、式辞といたします。