三重県立盲学校

平成23年度 盲学校公開講座
2011年8月23日(火)
「働く視覚障がい者が語る!」

今年度も、盲学校についての理解と啓発を図るために、夏季休業中に広く一般に対する公開講座を開いた。津市の広報誌などにもあらかじめ依頼していたため、本校近くに住むボランティアの方々や、本校の生徒や保護者、特別支援学級の教員や他県の盲学校教員などの参加もあった。

今回の公開講座の趣旨は、現在就業している5人の視覚障がい者の方々から様々な観点からのお話を聞き、仕事に対する意識やフォローしてくださる方々に対してのメッセージなどを発信するためである。


パネラーのプロフィール

O・Tさん

1973年生まれ。小学校から高校まで愛知県立名古屋盲学校で学ぶ。  筑波技術大学で情報処理を専攻。現在三重県視覚障がい者支援センター勤務。

視覚障がい者へのパソコン指導や県内の小中学校などに出向き、視覚障がい  についての啓発活動を行っている。

U・Hさん

昭和62年三重県立盲学校専攻科理療科卒  同年鍼灸マッサージ師資格取得。

平成2年3月 自宅にて治療院開設。整形外科パート勤務を兼ねつつ現在に至る。

趣味 写真撮影。スポーツとして グランドソフトボールをしております。

N・Mさん

「障がいも個性の1つ」と幼い頃から母に言われ育った私は、地域の保育園・小中学校を卒業後、将来のことを考え三重県立盲学校の高等部普通科へ進学。しかし、進路変更し、皇學館大学社会福祉学部を卒業後、様々な職種を経て、現在は第三銀行に勤務。今日に至るまでには、幾つもの困難や苦労もありましたが、周囲の方々のサポートのおかげで「何とかやって来れたのかな」と思っています。

N・Mさん

兵庫県の北部、温泉町に生まれる。先天性白内障のため2歳で手術。地元の小学校を卒業後、兵庫県内盲学校の中学部へ入学。卒業後は再び地元の県立高校へ進学。その後盲学校専攻科理療科であん摩マッサージ指圧、はり、きゅうの資格を取得後、筑波大学理療科教員養成施設へ進学。卒業後は広島県立盲学校、本校で理療科教員として勤務している。

T・Kさん

1959年9月1日生 おとめ座AB型

金沢大学教育学部中学校教員養成課程卒業。四日市市立笹川中学校、磯部町立 磯部中学校、度会町立度会中学校、のべ12年間勤務。度会養護学校(現在、度会特別支援学校)17年間勤務。

趣味は、旅行に行って写真を撮ること、さだまさしを観たり聞いたりすること、スポーツを楽しむこと、携帯でお買い物をすること、珈琲を煎れたりワインをたしなんだりすることなど。


まず、5名のパネラーに、現在どのようなお仕事をされているのかを含めた自己紹介と、ご自身の目のことや見え方について、話してもらった。次に、子どものころ、見えにくいことや見えないことに関して、どのように感じていたかを、小学校のころ、中学校のころ、高等学校のころなど、具体的に話していただいた。

そして、子どものころ、進路や仕事について、あるいは将来のことについて、どのように考えていたのかも、一人ずつ話してもらい、進路を決めたのは、いつか、また、きっかけは何だったのかを話してもらった。その際に、どんなことに困ったか、それをどのように解決したかなどについても、経験を話してもらった。

今までで、周りの配慮でありがたかったこと、困ったことなど、学生時代を  思い出しながら、話してもらった。最後に、現在どのように、趣味や生活を楽しんでいるかなどについても、語っていただいた。


H23年度 公開講座《8月23日》アンケート集計結果

表=枠内数字は人数

性別・年齢

性別
男性(4名) 
女性(7名)
回答なし (5名)              
年代および人数
10代(0名)
        20代(1名)
30代(1名)
40代(6名)
50代(2名)
50以上(6名)
2、所属
保育園(0名)
幼稚園(0名)
小学校(2名)
中学校(2名)
高等学校(4名)
その他 (8名)

当講演会を何で知ったか?

各学校への開催案内・その他

参加した動機

視覚障がい者が一般企業等で働くことについてを考えていたため。

ボランティア活動をしている。UD(ユニバーサルデザイン)町づくりで色々と勉強させてもらっていて、貴校の先生方に講師として来て頂いたりした。活躍しておられる方々のお話を聞かせて頂くため。

点訳ボランティアをしているので。<3>

子どもの進路で悩んでいるので、色々な体験談、苦労話等を聞いて、選択の幅を広げてあげたいから。参考にしたいから。<2>

就労に向けて何を身につけたらいいのか、どんなサポートをしたら良いか知りたかったから。

演題にひかれたから。

目が見えない事とはどうなのか知りたかった。

広報津と点訳、発送の仕事をしている関係から。

視覚障がいの当事者の方の声を直接聞き、指導の参考にするため。

盲学校を見学し、就労されている方の体験談を聞かせてもらいたかったので。<2>

講義内容の分かりやすさ

(回答なし 2名)

区別
はい
人数
14
理由
一人一人の具体的な実体験を聞くことができたので良かった。<3>
色々と本人に対してテーマを1つ1つ与えての討論、困ったことなど聞かせて頂き、
それぞれの気持ちがわかったので良かった。<2>
ありのままを話してくださったので良かった。<2>
パネラーの方々がしっかり意見を持って見えた事。
気付いた事、気付かなかった事等、ハッキリと話して下さった事。
進行もうまく、皆さんリラックスして、きどらず、本音で話されていた事。<2>

設定時間

ちょどよい
(11名)
長すぎる
(2名)
回答なし
(3名)

視覚障がいについてもっと知りたいこと

点字ブロックはどのように使われているのか、点字ブロックがあればどこへでも行けるのか、点字ブロックについて聞きたい。

点字を読まれない視覚障がいの方が相当おられると聞いている。点字についての意見を聞きたい。

海外事情。企業から見た視覚障がい者の率直な意見。

晴眼者に伝えたいこと等聞きたい、あまり盲の方は訴えられないから。

その他、意見、感想など

大変勉強になった。私は目が見えますから、障がいのある方の気持ちは想像で知るだけで、自ら語って頂いた事が良かった。

いろんな障がいのある人の生き方にむしろ励まされることが多い。見えるので見えないものがたくさんある。

パネラー同志の意見交換も聞いてみたかった気がした。

個人個人の努力を感じた。でも目が見える見えないは関係ないと思った。

日々の生活についても色々話して頂き、本当に健常者以上に楽しく生活をしてみえるように感じた。

盲学校理療科教員養成施設への進学はかなり学力がなければ難しいとお聞きした。

どのくらいの学力が必要か知りたい。

障がいがあっても普通の子どもと同じように育ってきたとの事で嬉しく(良かった)と思った。

パネラーの皆さんからたくましさを感じた。

保護者とのやりとりの時間、本当は保護者からもあると思う。

ありがとうございました。


以上のような感想を頂いた。

今後も、夏休み中の公開講座については、幅広く呼びかけ、盲学校についての理解や啓発を図っていくような企画をしたい。


平成24年度公開講座の記録
パネルディスカッション「視覚障がい者自立活動を語る」

平成25年度公開講座記録
「視覚障がいのある子どもを育てて」−親の経験から語り合う−



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