上高ニュース

2016年度後期始業式式辞(全日制)

2016.10.12

 前期の期末考査を終え、今日から後期のスタートです。本来なら皆さんの前で話をしたかったのですが、どうしても調整のつかない仕事があり、今日は、教頭先生に式辞を代読していただくこととします。一年のうちの大きな節目に当たる大事な日に不在となり、申し訳なく思っています。

さて、私は、年に何度も遠方に出張で出掛けます。その度に、多くの人との出会いや再会があり、何かに気づいたり、いろいろ考えたりします。そんな中から、こんな話を皆さんに紹介したいと思います。
私は、東京方面への出張では新幹線を利用することが多いのですが、ある夏の日、東京駅のホームで待ち時間を過ごしている時に、こんな光景に出くわしました。淡いピンク色のユニフォームを着た人達が、清掃を終えて車両から次々に出て来て、全員が整列し、深々とお辞儀をされて立ち去ったのです。互いに言葉を交わすこともなく、きびきびとした身のこなし。夏の暑さの中で爽やかな感動を覚えました。
ある新聞記事で知ったのですが、東京駅での新幹線の折り返し時間は12分。乗客の乗降時間を差し引くと清掃時間はわずか7分。その間に、車両内とトイレの清掃、ゴミ集め、座席カバーの交換、忘れ物のチェック等を終えなければなりません。この清掃チームは、JR関連会社の人達で、短時間のうちに快適な空間を生み出すそのスキルの高さ、テキパキとした身のこなし、礼儀正しさは、来日する外国人から絶賛されていると新聞記事に書いてありました。

ところで、本校には12年前から本校の環境整備の仕事をされている方がいらっしゃいます。田中節崇(たなか さだたか)さんです。田中さんは今年、76歳になられました。皆さんの中には、田中さんと言葉を交わした人がいると思います。言葉を交わしたことはなくても、田中さんが朝早くから草刈機で校舎周りをきれいにしてくれている様子を見た人はたくさんいると思います。御高齢の田中さんのお仕事ぶりから「何か」を感じなかったでしょうか。
私は、先ほど紹介した清掃チームに感じたことと同じようなことを、田中さんのお仕事ぶりから感じます。田中さんは、こんなことを私に仰いました。「明治校舎と正門は三重県の文化財。伊賀市を訪れた観光客が足を止めて、伊賀上野城を背景に正門と明治校舎を眺める。それに相応しい、外回りが三重県で一番きれいに整備された学校にすることが私の仕事だ。この仕事に誇りを持っている。この仕事が楽しい。」

プライドを持って生き生きと仕事をしている人は、周りの人達を魅了します。そして、何か大事なことを気づかせてくれます。皆さんの周りにもそんな人がきっといるはずです。大人に限りません。クラスメートや部活仲間を思い起こしてください。そのひたむきさ、一生懸命さに魅かれるという人です。そんな人達を見て、皆さんは何かを学ばないはずがありません。集団生活を送る学校の持つ素晴らしさの一つです。
 
さて、後期は、2年生には修学旅行がありますが、学校全体で取り組む大きな学校行事はありません。読書やスポーツ等何をするにも絶好の季節である秋の真っ只中で、じっくりと勉学や部活動に取り組み、大いなる成長の秋にしてください。特に3年生は、日々の授業を大切にしながら、目標に向かって着実な努力を積み重ねてください。現役生の受験学力が伸びるのはこれからです。焦ることなく自分を信じて一歩一歩前に進んでいってください。
以上で後期始業式の話を終わります。

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