上高ニュース

理数科ミーティング 校長講話

2016.04.26

 ~「推理」(論理的思考)と「想像」(主観的思考)~

 私たちは、何か問題があると、それを解決するために様々な角度から考えを巡らせます。あれこれ考えるうちに、思いつきに過ぎない主観的な考えが混じることがあります。正確な事実・情報に基づく「推理」ではなく、自分なりの「想像」によって解決しようとすることはないでしょうか。

 次の問題にチャレンジしてみてください。
 あるコンサートのチケット売り場でのことです。料金は、一般席が1,200円、指定席が1,700円です。一人の男性が2,000円を出すと、「一般席ですか、それとも指定席ですか?」と尋ねられ、男性は「指定席をお願いします。」と答え、指定席のチケット1枚とお釣り300円を受け取りました。その直後に一人の女性が2,000円を出すと、売り場の係員から何も言われず、指定席のチケット1枚とお釣り300円を受け取りました。
チケット売り場の係員は何故、その女性は指定席を求めていると分かったのでしょうか。

 あなたは、どのように「推理」しますか。「指定席しか残っていなかったから。」、「二人は夫婦又は恋人同士だったから。」、「高価な服装を着ていたから。」等々。これらは全て「想像」に過ぎません。勝手に「想像」して、無理やり結論と結び付けているだけです。
 正解は、明らかに一般席を求めていないことが分かるような2,000円の出し方をしたから、すなわち、「1,000円札1枚と500円硬貨2枚を出したから、又は500円硬貨4枚を出したから。」です。

 このような問題では「推理」と「想像」の違いは明瞭ですが、普段の生活では混同することがあるのではないでしょうか。「推理」とは、与えられた事実・情報を基に、論理的に結論を導くことです。問題解決の場においても、「事実・情報を無視した解決策」や「根拠のない意見」が平気で出されることがあります。それらが多数を占めると客観性のある考え方であると思い込み、誤った判断をしてしまうかもしれません。「推理」と「想像」の違いに留意し、正確な情報や根拠に基づいて問題や課題に取り組まなければなりません。

 「推理」とは論理的思考、「想像」とは主観的思考のことです。皆さんは、理数科の専門科目や「課題研究」で、様々な問題や課題に取り組みます。仮説を立て、実験を行い、結果を分析・考察し、仮説を検証します。この一連のプロセスを適正に進められるよう、至極当然のことかもしれませんが、改めて注意してほしいと思い、このような話をしました。

 以上で理数科ミーティングの話を終わります。

戻る