上高ニュース

平成28(2016)年度入学式(定) 校長式辞

2016.04.12

 春の風が学校に花の匂いや鳥のさえずりを運んでくれる今日の良き日、御来賓の皆様、入学生の保護者の皆様の御臨席のもと、平成28年度入学式を執り行うことができますことは、私共のこの上ない喜びであり、誠に嬉しく存じます。本校を代表し、深く感謝申し上げます。

本校の校門をくぐった新入生のみなさん、入学おめでとうございます。心から歓迎いたします。

保護者の皆様、お子様の御入学、誠におめでとうございます。これまでお子様を育ててこられました皆様の御尽力に衷心より敬意を表すとともに、お子様に寄せる思いを真摯に受け止め、私共教職員は、お子様の大いなる成長を目指して教育活動に取り組んでまいります。どうか、本校の教育活動に御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 さて、新入生の皆さん。皆さんは、今日から高校生として新しい生活に入ります。期待に胸を躍らせながらも、不安も感じていることでしょう。安心して心を開いてください。そして、分からないことは何でも尋ね、早く上野高校に慣れてください。

皆さんの中には、高校進学を機に、自分を変えたいと思っている人もいるでしょう。何かに反発して荒れた生活を送っていたという人や、あまり学校には行けなかったという人もいるかもしれません。これまではどうであれ、リセットすればよいのです。そして今は、夢に向かって挑戦できることに感謝しましょう。今の自分の状況に先ずは感謝です。その上で、「4年間、本当によく頑張った。今があるのは、その時の努力のおかげです。」と、5年後、10年後の自分から感謝されるような高校生活を送ってください。これから過ぎ去っていく過去は、皆さん自身の手でどのようにも作り上げることができます。今の皆さんには、自分の将来を決めるだけの可能性と力を持っています。今日からの一日一日がどれだけ価値のあることか、しっかりと今の自分の中に刻み込んでほしいと思います。

 そこで、こんな話をしたいと思います。皆さんも知っているように、オタマジャクシは、やがてカエルになります。尻尾が消え足が生え、陸に上がって飛び跳ねることができるようになります。しかし、カエルになれるのなら、カメにもなれるかというと、そうはいきません。カエルにしかなれないのです。オタマジャクシがカエルになること、それは、「より自分らしくなる」ということです。ここに成長のあるべき姿をイメージしてほしいと思います。
また、青虫はさなぎになり、そして蝶になります。この姿にも自分の成長をイメージしてください。青虫のあいだは思うように動けず、とても不自由な身です。しかし、さなぎを経て蝶になると、羽が生え、自由に飛び回れるようになります。「這う世界」から「飛ぶ世界」への変化です。しかし、トンボにはなれません。蝶にしかなれないのです。ここで悩んでしまうのではなく、羽が生えて飛べるようになることを喜ぶべきなのです。それが、「最も自分らしく輝いている姿」なのです。
皆さんの中に、他人との比較が癖になって自己嫌悪に陥り、今の自分を捨てて別人になろうともがいている人はいないでしょうか。言わば「自己否定の罠」にはまっている人です。憧れている誰かと比較し、嫌いな自分を消し去ろうとしたり、自分を捨てて別人になろうとしたりしてはいけません。「ダメな自分」「情けない自分」をあぶり出して、自己嫌悪に陥るのではなく、「ありのままの自分」を受け入れ、そういう自分と向き合い、つき合っていけば、これが自分本来の姿だと思う時があるはずです。それが本当の「自分らしさ」だと思います。
「自分らしさ」は、親から授かった自分に与えられた能力・個性です。それを一生懸命に磨き続けていると、「自分本来の姿」に変身できるのです。それまでは、ごちゃごちゃ言わずに自分を磨き続けなければなりません。これが中途半端だと、オタマジャクシとしては成長できたとしてもカエルにはなれません。自分磨きを途中で怠ると、大きな青虫になれても蝶には変われません。自分に与えられた能力・個性を進化させるところまで磨き続けることが大事なのです。

 それでは、どのように自分を磨き続けていけばよいのでしょうか。私たちには、「しなければならないこと」「したいこと」「できること」の3つがあります。「したいこと」を我慢し、「しなければならないこと」だけをする、そんな生活が続くと、一向に自分の夢や希望に近づいていないように感じ、「このままでいいのか、こんなはずじゃない」と思いがちです。しかし、実はそうではありません。逆に、「しなければならないこと」を脇に追いやり、「したいこと」だけをしていると、いつまでたってもオタマジャクシや青虫のままで、成長は望めません。「できること」も増えていきません。
 皆さんが、上野高校で、「しなければならないこと」と「したいこと」の両方をうまく両立させ、自分らしく、大きく成長することを期待します。

最後になりましたが、御多用の中、御臨席賜りました御来賓の皆様方に、心から御礼申し上げます。これからも、本校に対し、一層の御支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

待ちわびた春は希望の春。新入生12名の大いなる成長を祈りつつ、式辞といたします。

 

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