三重県立盲学校
小中学部研修(歩行)まとめ
本年度は、以前からある本校作成の歩行チェックリストを基に、児童・生徒の実態に即したチェック項目を策定した。それを実際に使ってみて、不備な点やこれからのチェックが、だれでも客観的に行えるようなものにすることなどを、来年度の研修の柱にすることを確認した。
以下は、項目別のチェックリストである。
三重県立盲学校歩行訓練チェックリスト(案)
- (A)身体意識の作成
- 1.上下、左右、前後にある音の出るものに対して、身体の向きを変えたり、手を伸ばすことができる。
- 2.身体各部の識別。自分の身体の部位が言える。
- 3.部位の動きが分かる。(手を挙げる、指を曲げる、足を前後、左右に広げるなどの指示を動作化できる。)
- 4.縦・横の凸直線などをなぞることができる。
- 5.他者の身体の部位を示すことができる。
- 6.自分の身体における上下、左右、前後、高低などがわかる。(頭と足の位置関係など、右足、左足)
- 7.自分の身体の中心の前に物が置ける。
- 8.自分の前後左右、上下などが言葉として分かる。
- 9.いろいろな角度や高さから聞こえる音に身体や手を向けることができる。
- 10.自分から見て様々な方向に物を置くことができる。(左に、上の方に、向こう側に)
- 11.身体の方向を確認するのに、いろいろな感覚を利用することができる。
- 12.右向け右、回れ右などが正しくできる。
- 13.静止の状態から45度、90度、135度の方向転換ができる。
1.音のする方向に向かって歩いていくことができる。
2.前に進む、後ろに下がるという動作ができる。
3.足の踏み代え(かかとからつま先への重心移動)がスムーズで、リズミカルに歩ける。
4.等速、加速、減速などがスムーズに行える。
5.手と足が協応した歩行ができる。
- Bグループ歩行の環境の理解、位置を知る概念
- 1.靴を履いて足で芝生、砂利、コンクリート、砂地、ぬかるみなどを当てることができる。
- 2.通過点の順序を言葉で表現することができる。
- 3.教室、机、用具の位置を具体物であらわすことができる。
- 4.正しく「L字」「コの字」「ロの字」コースを歩いて積み木であらわすことができる。(注)難易度が高すぎる。再検討してはどうか?
- 5.身体の方向を確認するのに、いろいろな感覚を利用することができる。
- 6.足の裏の材質、傾斜などの変化でその場所がわかる。
- (注)2と併せる
- 7.学校の建物の配置を知り、具体物で表現することができる。(注)4と併せる
- 8.学校付近や、道路、建物の様子を具体物で表現することができる。
- (注)7と併せて文言を再検討
- 9.方位を時計の針の方向に言い換えることができる。
- 10.東西南北を理解している。(注)9と併せる。
- 11.エンジン音を聞いて、車の大小の区別や速度、方向などの様子を知ることができる。(注)Bではないだろうか?
- 12.身近な音について、それが何の音であるか知ることができる。
- (注)11と併せる。
- 13.障害物(身長大)の一歩手前で止まることができる。
- (注)今ひとつ意味が不明?
順番については、再度検討が必要。
- ・歩行基礎について
- (C)歩行の技術
- 1.手の外側でかるく触れながら、壁に沿ってつたい歩きができる。(C)
- 2.壁などを手がかりにしてまっすぐ歩いたのか、曲がったかの違いがわかる。(BC)
- 3.壁に手を触れずに、平行に歩くことができる。(C)
- 4.通過点の順序を言葉で表現することができる。(BC)
- 5.指示されたコースを通って校舎内の目的地まで行くことができる。(C)
- 6.自分の部屋から目的地までいくとおりものコースで行くことができる。(C)
- 7.校内の決まりや通行規則を守って目的地に行くことができる。(C)
- 8.雑音の中の必要な音を手がかりに行動することができる。(C)
- 9.歩いて10m、30m、50mなどの距離がわかる。(C)
以上のチェックリストを使い、小中学部の児童・生徒に対して歩行の実態を調査した。その過程において、テスト方法のマニュアル化や、チェック内容の細分化、具体的なめやすなどをはっきりさせることが必要であることがはっきりとしてきた。また、チェックリストの細かな項目を設定することにより、より詳しく生徒の実態が把握できるようになるであろうと考えられた。こういった意見を受けて、来年度も歩行のチェックリスト作りに取り組む予定である。
またこのような歩行訓練のチェックリストについては、高等部普通科でも取り組みつつあるので、歩行についての「小・中・普」の合同研修会を設けることも視野に入れて、今後は三重県立盲学校のチェックリスト作りに取り組みたいとの総意を確認した。
その他には、歩行訓練に限らず、個別の支援計画などの作成に当たって、年度初めに、学部研修で話し合いや実態把握などを行っていくことなどの確認をした。
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