乳幼児の食事についてのDVDを見、盲学校に在籍する、児童・生徒の実際についての話し合いをした。
視覚と知的の重複障がいの子供が、どの様に食事の能力を習得していくのかを記録したDVD。2歳から10歳の記録である。
対象となる児童は触覚過敏があり口や手が汚れることが嫌う。学校では食事以外で、様々な素材に触れる経験の積み重ねを積んでいった。
乳幼児前期、担任から汁物はスプーンで食べさせてもらう。掴んで食べられるものは、担任の手の上に置いた食物をつかんでとって食べたり、担任が差し出す黒いお盆の上の食物を掴み、口に運んで食べることができる。自分で口に入れるとき、口に取り入れるタイミングが合わずこぼれてしまうこともある。食事中、目押しや常同行動も見られるが、咀嚼に問題なく食物を摂取できる。
乳幼児中期は、1つのお盆に1つの食材を入れたお皿から、手で掴んで食事が出来る。お皿の下にキューバンがついていてお盆から離れないように、工夫されてある。その後徐々にお皿の数を増やして行く。1つのお盆に2つの左右においたお皿、さらに手前2つ、奥に1つの3つのお皿と、自分で選択をして、手を使って食事ができる。
乳幼児後期には4つのお皿を使って食事ができるようになる。この時期には牛乳瓶を口に持って行き、傾けて自分で飲める。また、両側に握るところがついた安定性の高いお椀を使い、汁物を自分で摂取し、お椀をゆっくりお盆に戻すこともできる。この時期には、歯磨きやガラガラうがいが出来るようになっていたり、日常生活でもはっきりと言える言葉が増えていたり、呼吸の仕方、手指の操作、発音などの総合的な発達があったため、食事の仕方に発達が見られるようになったものと思われる。さらに乳幼児後期には、スプーンを使って、掬って食べることができるようになる。
小学部中学年後期、以前の様な固定されたお皿からではなく、お椀、平皿によそってある食べ物を、ピンセット状の箸を使って、食事ができるようになる。お箸で挟むときは、指で食材を軽く押さえ、前屈みにならずに、口まではこぶ。また平皿には複数の種類の食べ物が入れてあり、子どもは、選択しながら食べることができる。
DVDで見た例は、基本的に、自分で食物に手を伸ばし、手で物をつかみ口に入れようとする意欲のある子どもであった。本校にいる児童・生徒の中で、これだけ食べる意欲を持っている子どもはどれだけいるであろうかという話しに及んだ。
DVDで見た子どもは、幼稚園の段階で、自分から食べ物に向かって手を伸ばしてつかみ、手に持って口に入れようとする意欲があった。しかし本校にいる重複障がいの子どもはその前の段階である場合が多い。知的障がいや触覚過敏等複数の障がいがあるため、食べ物に触ることや、口に指が触れたり、何かが触れることが嫌で、食べることじたいに抵抗を示す場合が多い。加えて、小さい時から、触れる経験を積んでいないために、触れるということに抵抗を示しやすくなったものと考えられる。
また手も、いろいろな事に挑戦していこうとする手に育っていないことが多い。教育相談でも、偏食がひどく、体が年齢相応の体格に成長していない子どもがいる。例えば学校に入学して給食を食べるようになったとしても、どれだけ食べる意欲が育つのか、また小学校入学前の段階で、偏食がこれだけあると、食べ物を口にいれることができるのだろうか心配である。という様な話に及んだ。