・まず道具類を探すことからはじめたが、当然、しまってある場所があらかじめ分かっていると、探しやすい。食器類は割れることが心配で、棚から探し出したり洗って準備することなどが、おっくうだと感じた。やかんに水を入れることやガスコンロに置くことは経験があるので、スムーズに行えるが、ガスコンロに火をつける際、コンロの真上に頭がいったりして、安全面での確認が意識できていないことが分かった。また、ガスコンロの火を切るときも、五徳が熱くなっていることに気づかず、指を近くまで持っていき、やけどをしそうになった。火がついた状態の物には、十分注意をしなくてはいけない。また、不用意に触ることのないように、安全確認を手以外のものでするなどの工夫が必要である。
包丁の扱いは、まな板を含めてセッティングをしていると、包丁の刃がどちらを向いているのかがわかっているので、けがをせずに済むと思う。人任せだと、包丁の向きをしっかりと聞いて確認したほうがよい。とにかく刃が指先にあたるだけで切れてしまうので、結構おっかなびっくりだった。ロールケーキなどセロハンのような用紙で包まれているものを包丁で切り分けることは、紙をはがずにそのまま切るほうが、衛生上はこのましいが、用紙があると切りにくいと感じた。
・やかんが大きかった。感覚をつかみやすいという点で考えると、視覚障害がある場合、普段は小ぶりなものを使用した方が良いと思った。火をかける際にも安定しておくのが難しい。
ケーキについては、カットした後にお皿に移す際、なるべくケーキ自体にべたべた触らず移動させるためにも、お皿の形や位置をしっかり認識しておくことが大切だと思われた。
危険を知らせることは必要ですが、場合によっては、そのことそのものが危険 を招く可能性があります。(熱いよ!!→手で払いのける、並んでいる食器を探そうとしている時など)
個々人の経験や性格などを把握してからの指導が必要。
経験がない場合は、「熱い状態」からではなく「手で触れられる状態」から練習するのがいいのではなかろうか。(やかんから湯を注ぐ→手で触れられる状態で注ぎ入れる)
昔は片眼の弱視でした、ロールケーキのようなもの(食パンなど)を均一に切り分けることや、(調理ではありませんが)板をのこぎりでまっすぐに切ることは難しかったです。かえって今の方が上手く切れるくらいです。弱視の時の方がおおざっぱで、始点と終点をしっかり意識してそのラインと刃が沿うようにしていなかったんでしょうね。
やかん一つとっても、大きさや注ぎ口の形状(角度、口のサイズ、長さ)、取っ手の形状などさまざまであり、はじめて用いる道具は、よくその特徴を把握しておかないと、使えないことがわかった。例えば、取っ手が立たず、本体に倒れ込んでしまうようなタイプは、取っ手にさわるさいに、本体に手がふれてやけどの危険があるので、自分の場合は使わないようにしている。
茶碗も同様に、ふだん使っていない器だと注ぐ感覚がかわって、むずかしい。自分の場合は、おもに音の調子で注ぎ入れているのだが、深部感覚(触覚、重量覚)や温度覚を使っている人の場合は、これも事前にチェックが必要である。今回のように熱湯を扱う実習は、かなり高度な技術であり、ADL訓練としては、最高レベルのものだと思う。
学校教育の中で火をとりあつかう機会は多くないので、家庭科だけでなく理科実験のときなどにも十分に時間をさかないといけないだろう。