感覚統合に関する研修を以下の資料を基に行った。
感覚統合とは、体の内部や外から入ってくる多くの刺激を脳で組織化して、環境に対して適応反応を起こしていくときの、脳における一連の処理過程のことをいう。適応能力とは、環境との意味ある関わりを持つこと。
感覚統合の考え方は、これらの能力が発達するには人間の様々な感覚器から得た情報が脳(中枢神経)において相互に適切に連合・組織化・統合していく処理過程が基盤になる。つまり、上端に記述した能力は感覚統合の「最終産物」であり、これらの最終産物の障がいは感覚統合過程に問題がある可能性を持っている。
集中力 組織力 自尊心 自己抑制 自信 教科学習能力 抽象的思考や推理力 大脳半球及び身体両側の特殊化 (第4段階) 話す能力 言語目と手の協調性 視知覚 目的的活動 (第3段階) 身体知覚 身体両側協調性 運動企画 活動レベル 注意の持続性 情緒的安定性 (第2段階) 目の動き 姿勢 バランス 筋緊張 重力への安心感 吸う 食べる 母と子の絆 快い触覚 (第1段階) 聴覚 (聴くこと)前庭 (重力と運動)固有受容器 (筋と関節)触覚 (触れる)視覚 (見ること)脳幹にある前庭神経核は、三半規管と耳石器官で感じ取った体の動きによって感じる変化を受けて、小脳や脳幹網様体と共同して、からだのバランスをとるのに必要な情報をからだの各部に送る。また目の動きにも関与し、動いていても対象物をしっかり見ることにも役立つ。
前庭系は、からだの動きを素早くキャッチして、環境に応じた適切な動きを予測し準備することができる。
前庭系に対しては、からだの動きそのものが刺激となる。すなわち、動くこと自体が遊びといえる。前庭系の刺激は快い刺激といわれている。
感覚統合療法の対象の多くは、学習障害や自閉症と呼ばれる子どもたち。彼らは動きに対する反応に乏しかったり、過敏に反応したりする。
感覚統合療法では、その子どもの状態にあわせて前庭刺激を与え、子ども自身が刺激をうまく調節できるように援助していく。
主な活動、スクーターボード腹ばいで乗って手を動かしたり、斜面から滑り降りたり、空中ブランコにぶら下がってタイヤチューブ内に着地したりする。また、ハンモックにすっぽり入って大きく揺らしたり、回転したりする活動。タイヤと板ブランコを組み合わせての使用。タイヤチューブやフレキサースウィングにつかまらせたり、ボルスタースウィングやプラットフォームスウィング、ホーススウィング等コントロールされた前庭刺激を導入しながら、適切な身体活動、環境空間的な理解および物や人との関わりを援助していく。
これら、促通と抑制を使い分ける。
触感覚を処理する過程で未熟さを示すものが少なくない。この場合触刺激が神経システムの大きな混乱の原因となり、不快感・恐怖感を与える。
神経系のバランスを保つよう触刺激を与え、子ども自身が刺激を十分調整しながら、行動できるように援助する。
主な活動、ボールプールの中に入って遊んだり、マットの間にからだをはさむといった活動を通して圧迫刺激を与える。遊具をいろいろな素材でくるみ、子どもが動きによって様々な触刺激を得られるように工夫する。乾いたタオルや柔らかい布地で皮膚をこする。ボディーローションを塗り込むなど。
強く抱きしめる、手足の関節を軽く引っ張る、柔らかい毛布でくるむなど触圧覚や適度な温度刺激を併用する。また、自ら触対象に関わりような活動として、クリームを鏡に塗ったり、それを刷毛で拭き取ったり、遊具に抱きついて遊んだり、動きの中で触刺激が自然にはいるようにすることなど。また、非常に軽くて速い回転をするブラシなども有効。
比較的強い活発な前庭刺激や固有感覚刺激を用いて目覚めるように働きかける。
感覚入力はあまり複雑な運動器覚能力を必要とせず、子どもの興味や探索心を呼び起こすものがよい。
ボールプールは、全身に軽い触刺激が入り、子どもが興味を持って取り組める。飛び込んだり、中で泳いだり、全身を埋めたり、中で探し物をしたり、服とからだの間にボールを入れたり、取ったりなど。