三重県立盲学校

弱視グループ研修
弱視生徒の実態把握 ーー 見え方の理解 ーー 教育的視機能評価を含めて
第二回 06年9月22日(金)

1. 筑波大学弱視教育研修会(6月 筑波大学 | 社会貢献・生涯学習 現職教育講座外部リンク)の報告

1.『視力の低い人のための 教材作成の手引き』(平成18年度 筑波大学公開講座 資料; 平塚盲学校(外部リンク) 教諭 提供) より

<リソースシートの活用>
リソースシートとは・・・弱視の子どもたちの教材を作るにあたって、これだけは抑えておこうというチェック表のようなもの。(個別の支援・指導・教育計画の作成の際にも有効に活用できる。)
分類や項目については、地域や学校の実情、担当している子どもの状況によって、柔軟に変更、工夫すること。
( 平塚盲学校(外部リンク) における)シートは、主に次の四つの領域で構成されている。
@見え方について
A学習環境
B補助具の活用
C関連サービス

<各項目の解説>;

@見え方について:【眼疾、視力、視野、最大視認力、見え方の特徴(眼球運動、色覚、まぶしさ、明暗の順応など)、視覚管理上配慮する事項、全般的配慮事項(健康、安全など)】
 弱視児を指導する上で最も基本的な情報。眼疾がわかると、おおよその見え方の特徴がわかり、また視力がわかれば、大体どれくらいの文字が見えるか、どんな場面で困難があるかがわかってくる。しかし、同じ眼疾、同程度の視力でも、一人一人の見え方に大きな違いがあることもあるため、眼疾や視力の値が一人歩きしないよう、十分留意する必要がある。
A学習環境:
【照明(教室内、机上、まぶしさ)、机・いすの高さ、書見・書写台、ノート、筆記用具】
この種の配慮は、弱視の子どもたちを援助する上で大変重要な領域。とかく視距離が短くなりがちなので、書見・書写台などは、姿勢に関する負担軽減にも大きな効果がある。 ノートや筆記用具については、市販のものが使いにくい場合は、見え方に応じてより使いやすいものを用意する必要があるが、本人に使いやすいと感じられれば、市販の太い罫線入りのものやシャープペンシルなどでもよい。
B補助具の活用:【遠用・近用レンズ、拡大教材、拡大読書器、パソコン、音声教材、その他】
弱視の子どもたちにとっては、弱視レンズなどの補助具がどの程度活用できるかどうかは、生活や学習の能率を大きく左右する。したがって、どんなレンズが、どのような場面で使用しているか、あるいはできるかについて確認しておく必要がある。一方、拡大読書器については、どんなものでも読む場合は主にそれを用いるか、あるいは図や表、地図などを見るときに補助的に使うかによって、使用のし方が異なる。また、弱視の子どもが小さな文字を書くことは大変困難であるが、パソコンを使えば簡単にできる。将来の進路を考える上からも、パソコンの技能を身につけておくことは、大変重要である。特に、タッチタイピングでローマ字入力する技能は、できるだけ早い時期に身につけておきたい。パソコンであれば、画面を拡大表示したり、音声を使うことも可能になる。
 C関連サービス:【医療機関、福祉機関、地域・余暇活動】
この情報は、生涯にわたる支援、教育、福祉、地域社会などとの連携、という観点から注目されるべきである。

リソースシートの活用方法やリソースシートの4つの構成についてなど。

@見え方について。
医学だけの判断だけではなく、学校は学校で視力の把握が必要である。
A学習環境。
B補助具の活用。
弱視レンズを使用するには、使用前に訓練がいる。
早いうちからパソコンを取り入れると良いが、人によってはパソコンは画面じゃなく音声重視で利用していくとよいのではないか?(意見)
C関連サービス。

2.弱視生徒の授業実践を題材に意見交換

@生徒、A:

白地に黒の文字。36ポイント以上を、電気スタンドを用いて読む。

斜め上の文字が一番読みやすい模様。

学習活動では、書写に時間がかかり、スペリングの定着が遅れがちである。

ちなみに、消しゴムを用いるとき、文字を消すのに、その少し右のあたりで動かしてしまう傾向がある。

 視力は、去年までは色の判別ができていたが、今は暗いところで色の判別は難しい様子。そろばん検定で回答用紙に答案を書く際にとても時間がかかる。問題番号を書いて答えを書く場所がなかなか見つけられないため、先に全部問題番号を書いてから、問題を解き答えを書くようにと促し工夫するがそれでもやはり番号を探すのに時間がかかる。英語の時間ではスペリングの定着が遅れている。

意見→
解答用紙が真っ白だから分かりにくいのかもしれないので、罫線などを少し書いてあげると分かりやすいのかも。
見えてる部分の視野を上手く使えていない可能性がある。
HBの鉛筆を使用しているのでもう少し濃い鉛筆に変えるとよいのではないか。
手元黒板を使用してみることもいいのではないか。

A生徒、B:

白黒反転で、白はかなり太い文字を使用。英語の場合、36ポイントではまだ小さく感じるという。書く場合も、白の極太マーカーが一番適している様子。

【参照】今までの教材の経過;
アルファベットのカード→背景に色を塗りたいと申し出る。
教科書を大きく拡大しても見にくいことが判明。→白黒反転へ
黒板の文字なら読める、というので、黒板を併用する。
教科書をPCで打ち直し、白黒反転で作成。
36ポイントでなく、48ポイント以上の文字や、極太マジックの手書きを白黒反転で作成。
英語の書写用として、4線ノートをPCで作成して与えたが、線が入っていると書きにくいという。→太い間隔をもったノートをPCで作成して与える。

視力は調子のいい時は結構見える様子。漢字はとても苦手である。下の方は見えにくいみたいで紙など少し上の方にしてあげると見えるようである。黒板の文字は近くに行くと見える。教科書を大きく拡大しても見えにくいため白黒反転へ切り替え少々改善されたようだが、まだまだそれだけでは見えにくい様子。教科書をPCで打ち直し、白黒反転で作成している。普段の生活では携帯の文字など単語や短い文章だと見える感じだが、やはり授業になると難しい。見えていないのに、「見えている。」と言ってしまうこともある。数字は案外見やすい様子。

意見→
今は教科書などを工夫して授業を進めているが、将来的にこのままの指導方法でよいのか考えていく必要があるのではないか。

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