理科総合B レポート No.4
 
3.の(6)について
 フェーン現象とは??
まず、フェーン現象が起きたときの日本海側と太平洋側の気象データを比べて見ましょう。表1はメイストームによってフェーンが起きた日(1998年5月2日)の日本海側と太平洋側の気象官署における最高気温、相対湿度及び日最大風速の記録です。太平洋側では最高気温が21℃前後であるのに対し、日本海側では30℃前後と9℃近く気温が高くなっています。反対に、相対湿度は太平洋側で高く、日本海側で低くなっています。
表1 1998年5月2日の日本海側と太平洋側の気象データ
  官署 最高気温(℃) 平均湿度(%) 最小湿度(%) 最大風速(m/s
日本海側
 
 松江
 浜田
30.1
29.1
   68
   69
   46
   45
   11.1
    8.9
太平洋側
 
 高知
鹿児島
20.4
22.9
   89
   90
   74
   76
   3.4
    5.0
                      図1 1998年5月2日09時の地上天気図
 この違いはどのようにして起こるのでしょうか? 図1の1998年5月2日の天気図を見てみましょう。暖かく湿った空気が、太平洋にある高気圧から朝鮮半島にある低気圧に向かい、日本列島を越えて流れ込んでいます。この空気は日本列島を越える際、九州や四国、紀伊半島などの山地にぶつかって、地形に沿って上昇したことにより、雲が発生し、雨を降らせています。これにより、多くの水蒸気を失い、四国山地や中国山地を越えた日本海側では、乾燥した空気なって吹き降ります。これが日本海側で空気が乾燥するメカニズムです。
図2 フェーン現象により日本海側で高温となる仕組み










では、気温の違いはどのようにして起こるのでしょうか?図2を見ながら具体的に説明します。  
 ある程度の水蒸気を持った20℃の空気のかたまりが、太平洋側から海抜2000mの山を越え、日本海側に吹き降りると仮定します。しかし、この空気のかたまりは太平洋側の山を上昇する際、海抜1000mに達すると飽和し、さらに上昇すると、雲ができ、雨を降らせ、ほとんどの水蒸気を失うとします。初め、太平洋側の斜面を上昇する際、空気のかたまりが飽和するまでは、100mにつき約1.0℃ずつ気温が低くなります(乾燥断熱減率)。このため、海抜1000mでは気温は10℃になります。さらに上昇すると空気が飽和するため、今度は100mにつき約0.5℃で気温が下がります(湿潤断熱減率)。そして、山頂に達した空気の気温は5℃となります。山頂を越えた空気のかたまりは、太平洋側で雨を降らせ、多くの水蒸気を失っていますから、乾燥断熱減率で気温が上昇し、日本海側に吹き降ります。そして、海抜0mに達したとき、気温は25℃となります。したがって、空気のかたまりが山を越える前の太平洋側の気温と、山を越えた後の日本海側の気温を比べると、日本海側の方が5℃高くなります。これが、フェーン現象が起こると日本海側で高温となる仕組みです。
 
4.の(2)のヒント  天気のことわざ辞典
昔から言い伝えられた天気に関することわざ。今風に言うと ”観天望気” 。
案外、当たっているものが多いように思われます。
●雲・風に関することわざ
・雲が西へいくと雨。東へ行くと晴れ。
・飛行機雲が長くのびれば雨。すぐなくなれば晴れ。
・太陽や月に笠がかぶると雨。
・秋北春南。(秋冬は北が晴れると晴れ。春夏は南が晴れると晴れ)
・朝焼けは雨。夕焼けは晴れ。
・レンズ雲は風が強くなる兆し。
●雨・雪・雷に関することわざ
・西方に雷鳴れば、雪起こしと称して雪が降る。
・冬の夜、突然雷鳴れば雪。
・冬の雷は雪起こし、春の雷は雪明け
・細かき雪は積尺多く、大なる雪は積尺少なし。
・粉雪は長雪で積もるが、牡丹雪はすぐ止む。
●気温などに関することわざ
・三寒四温
・霜柱の立ちたる日は天気良し。
・冬暖かいと雨又は雪
・朝虹は雨、夕虹は晴れ
●生活に関することわざ
・茶碗のご飯粒がきれいにとれると雨、茶碗につくと晴れ。
・牛舎・トイレが臭うと雨。
・夕方、子どもがはしゃぐと雨。
・子どもがお茶を飲むと風が吹く。
●からだに関することわざ
・あかぎれが痛むと風が吹く兆し。
・水虫がかゆいと翌日雨になる。
・しもやけ痛むと晴れ、かゆいと雨。
・古傷が痛むときは天気悪くなる。
・老人の腰が痛むと雨。
・髪がしっとりすると雨。
・髪のクシのとおりがよいと雨。
●動物・植物に関することわざ
・ネコが顔をこすると雨。
・ネコが空をむいて寝たら天気が良く、顔をかくして寝たら雨。
・カエルが盛んに鳴くと雨。
・魚が跳ね上がると雨。
・ツバメが低く飛ぶと雨、高く飛ぶと晴れ。
・トンボが多く飛ぶと暴風が吹く。
・クモが巣を低くかけるときは雨、高くかければ晴れ。
・ヘビが木に登れば雨、カエルが木に登れば雷。
・熊笹に花が咲く(実がなる)ときは不作。
・コブシの花が多い年は雨雷、又は洪水が多い。
・ウメの花が上向きに咲く年は日照り、下向きの年は雨年。
・大雪は豊作の兆し。
・雷が多い年は豊作。
・カメムシが多い年は大雪。
 
6.のヒント 《インターネットで調べてみよう》
たとえば、YAH00! 画面で「雲」半角「種類」と入力して検索→「雲百科」で調べてみました。説明文だけ紹介します。
自分で雲の名前をクリックして、雲の詳しい写真を見てください。
 雲の種類と分布
 雲にはできる条件や高さにより色々な種類があります。国際雲分類表の内主な10種類をあげたものです。低気圧や前線との位置関係は下の図の様になっています。しかし、これは代表的な例で実際は複雑な組み合わせで有ったり、時間と共に変化したりします。
〈巻雲〉
しばらく秋晴れが続いた頃に空の高い所にあらわれる雲です。
西の空に現れてだんだん空に広がって行く時は1日から2日後に天気は崩れる可能性があります。                       
 〈巻積雲〉
いわし雲と呼ばれる高い空に点々と浮かぶ美しい雲です。
太陽光が当たっても透き通るようで雲に影はできず、青い空に白い雲が浮かんでいます。
この雲が現れて広がると翌日には天気は崩れて行きます。
〈巻層雲〉
空の高い所に薄い膜を拡げた様に広がります。
太陽光が抜けてくると太陽の周りに暈を作ったりします、これはこの雲は細かい氷で出来ているため屈折して虹のような輪を作るためです。この雲が空を覆うと翌日には天気が崩れて来ます。「お日さまやお月様が暈をかぶると雨になる」と言われるのが、この雲です。
〈高積雲〉
少し低い空に点々と浮かぶ雲で「ひつじ雲」と呼ばれているのがこの雲です。
太陽の光をあまり通さないので雲の下側に影が出来ます。
この雲が空に増え替わって層状の高層雲が広がってくると雨の降り出しが迫ってきます。
〈高層雲〉
この高層雲には高さや形により色々な種類がありますが、層状に全天を覆い太陽光を余り通さないためにうっとうしく、だんだん雲が低く厚くなってくると、いつ雨が降り出しても不思議でない状態です。
〈乱層雲〉
この雲は雨を降らす雲です。
地上近くまで霧がかかった様になり見通しは悪く暗くて、実際には上空の雲がどんな状態になっているのかは分かりません。すでに雨のまっただ中に入っています。
〈積乱雲〉
夏の入道雲と同じものですが寒冷前線に伴うものはハッキリとした姿を見る事はあまりありません。この雲の下では、時間的には1〜2時間と短いのですが、突風が吹いたり激しい雨が降ったり、落雷があったりして大荒れになり注意が必要です。
ただし、梅雨前線や秋雨前線の様な停滞前線上では、次々と同じ場所で発生し、一ケ所に長時間雨を降らす「集中豪雨」となり大きな被害をもたらす事が、度々あり注意が必要な厄介な雲になります。
〈層積雲〉
温暖前線に先立って現れます。
積雲がかたまったり筋状になったりしています。
〈積雲〉
移動性高気圧に覆われて安定した天気の時青空の低い所にポッカリと浮かんでいます。
雲の底が平らで上部はムクムクと沸き上がりシュークリームの様な形をしています。
安定した状態にあらわれるので積乱雲の様に発達して悪天をもたらす事はありません。