《独言!》 ブツブツ!! 

Vol.68

Technical Report1〔イントロダクション〕

“TSG=Technical Study Group”

今回から、TSBを高体連技術委員会の中の独立し

た組織として位置づけ、委員は大会開催府県(4県)

から選出され、事前・事後の綿密な打ち合わせが可

能となり、レポートの質の向上が図られる。今回は、

焦点を絞った内容で技術・戦術分がなされた。特に、

攻守の切り替えの瞬間も一つの大きな局面と捉え、

分析を試みた。〔林 義規:全国高体連技術委員長〕

 

 

高校サッカーを少しだけ考える−D!!】

 

第83回全国高校サッカー選手権大会を振り返る最後として、『2005高校サッカー年鑑:講談社』から、

Technical Reportの抜粋を紹介し、方向性が見いだせたらと考える。

 

Technical Report4 〔第83回全国高校サッカー選手権ベスト16チーム分析〕

  津工業(基本システム:4−2−3)

   ディフェンスラインからのビルドアップの意識は高いが、パスコントロールの質、サ

   ポートの質が悪く効果的な攻撃とならずリスクの高いイージーミスパスが多かった。

  【攻撃】レフティーでロングボールが蹴れるG岩崎とドリブル突破のI鈴木をワイドに

      配置しオープン攻撃を構成していた。また、ボランチE大平を使った短いパス

      回しでビルドアップしていく姿勢を最後まで見せていた。

  【守備】ワイドに配置したG岩崎とI鈴木はほとんど守備に参加しないため、ボランチ

      E大平とF中村と両サイドバックに大きな負担がかかり、サイドで数的優位を

      作られてしまう。センターバックのA野垣内はボールを奪い、そのまま攻撃に

      転じようとする姿勢が常に見られた。

 

Technical Report2 〔大会概要;大西正幸:全国高体連技術委員〕

  @大会の流れ

   3674校の頂点を目指す今大会は、1回戦(12/31)は降雪に見舞われ、どの会場も第1試合の途

中から積雪で思うようにボールを動かせないピッチコンディションとなった。そのため、狙いとす

る自分たちのサッカーを展開できずに大会から去っていったチームも、少なからずあった。また、

初戦から市立舟橋vs東福岡、星稜vs滝川二、また3回戦では国見vs藤枝東など好ゲームがあり、

面白い反面、強豪チームが早々と大会から去ってしまうという現象も起きた。

  A大会の特徴

   1,ロング・フォワード・パスによる攻撃

   ベスト4に進んだ鹿児島実・国見に代表されるように、DFラインでボールを奪うと、周囲の状況

を見ず(判断せず)に前線にボールを放り込み、そのセカンドボールを拾い攻撃につなげるという

戦い方をするチームが非常に多かった。ボールを奪ったときに相手守備の態勢が不安定ならば前方

へのパスを選択し、態勢が整っている状況ならば、DFラインや中盤でボールをつなぎ、攻撃する

スペースを作り出す工夫をすることが良い攻撃に繋がる。相手の守備陣形にパスやドリブルによっ

て隙を創り。意図的に崩していくプレーはサッカーの中でも最も面白みのある部分であり、またク

リエイティブな部分でもある。その大切な部分を奪ってしまうのは、プレーする選手、観客、そし

て何よりも指導者にとってもマイナスとなってしまうのではないだろうか。

2,攻撃と守備の分業化

守備面ではDFラインを押し上げ中盤をコンパクトにする、チャレンジ&カバーの徹底、囲い込み、

などまだ改善の余地はあるもののかなり意識されているように思われる。しかし、反面DFは守備

だけが仕事であり、攻撃の際には休みに入っているチームが少なくなかった。今後各チームで攻守

のバランスを考えながら、DFが積極的に攻撃に参加することにトライしてもらいたい。

3,ゴールキーパーについて

シュートストップ、キック力についてはレベルアップを感じる。この年代での平均レバルは確実に

上がってきていると思われる。しかし、CK、FK、ロングスローを含むクロスボールに対して積

極的に出る場面が少ない。また、判断の面での迷い、自信のなさが見られた。もうひとつ、GKの

攻撃参加はロングキックだけではない。状況を見て的確なフィードをすることであるはずだ。状況

の把握より前に判断基準(チームとしての)が決定しているために、GKから素早いスローインで

サイドバックが受けるといった場面は、ごく稀であった。

 

  B高校サッカーの今後

   1,リスクを冒してもチャレンジするサッカーへ

   今後の高校サッカーを考える際に重要なことは、『リスク』をどう捉えるかではないだろうか。『負

ける』ことを恐れてリスクを負わないサッカーを選択してはいないか。高校サッカーはあくまで通

過点であり、最も大切なことは選手が世界に通用すし、闘えるように成長することである。そして、

それを実現するためには、リスクを負いながらも、この年代で学ぶべきプレーに積極的にトライす

る事が必要である。

2,高校サッカー指導者の一貫指導への関わり方

着実なレベルアップは見られるが、世界に通用する選手の育成からは、まだまだという感は拭えな

い。特にテクニカルな面において、プレッシャーの中での正確な技術の発揮という点で、世界と比

較しても劣る部分が多い。技術的な要素は、より若年齢の時期にトレーニングすることが重要であ

り、よりレベルの高い選手育成を考えるならば、高校以前の段階の指導にも積極的に関わっていく

必要がある。

 

Technical Report3 〔報告;布啓一郎:日本サッカー協会 技術委員 前U-17代表監督〕

  @第4回フットボールカンファレンス海外講師の決勝戦の評価

 【アンディー ロクソブルグ 氏(UEFA技術委員)】

  両チームとも良くオーガナイズされたチームであると思える。ユースの年代でこの様なTV中継や大

寒種の前でゲームを行うことは、選手や指導者のストレスとなることもある。しかしこの様な環境で

ゲームを行った選手は貴重な経験をする事が出来たのではないかと思われる。ゲーム内容に関しては、

もう少し落ち着いてボールを保持していく事が大切でないかと思う。不確実な技術判断でボールを失

う場面が多く、選手の育成を考えると気になった。また、フィニッシュの精度と判断が重要になる。

レベルが上がればゴール前の一瞬の差でゲームが決まってくるものなので、正確な情報収集と技術の

発揮が必要であり、得点に絡む重要な場面でのミスが目立った。

 

 【クロード デュソー 氏(INF フランス国立サッカー学院 前校長)】

  ロングボールが多すぎることが一番気になった。選手はここで終わりではない、選手を育成するため

には不確実なロングボールを蹴りあっていても選手を育成することは出来ない。

 

 【マーチン トーマス 氏(イングランドサッカー協会GKコーチ)】

  GKの観点から言わせてもらえば、両チームともGKのスタートポジションが低いことが多かった。

DFとの連携と守備範囲を考えたポジショニングを常に心がけていくことが重要である。また、残念

なことにこのゲーム全体でGKがスローで味方にパスしたのは両チーム通じて1本しかなかった。も

っと、GKを含めて、チーム全体でボールを動かす事を考えてゲームを構成していく事が必要である

と思われる。

  

A大会の流れ

       以下割愛

 

 

約43名のスタッフが、長い大会期間を通じて分析された結果である。真摯に受け止めながら、次のチー

ム創りに生かせていけたらと考える。

なお、抜粋であり、割愛した部分で表現を逸脱した箇所もあるやに思われます。真意を伝える事が出来ず

誤解を招き、関係者にご迷惑をおかけすることがありましたら、平にご容赦いただきますようお願い申し

上げます。

また、出典となりました『2005高校サッカー年鑑−講談社−』は書店にて好評(?)発売中です。何

処にでも無いかも知れませんが、本体価格¥2,095−にてお買い求め下さい。大会記録誌としては非

常に希少価値のある雑誌かと思います。