平成16年(15年度)卒業で進学した諸君が遊びに来てくれました。この年は、進学者が多く、大学に7名、高専に1名が進学しました。
これは、彼らとの対談の記録です。(平成19年3月)

「しっかり頑張ってますよ」

北村真哉
 三重大学 工学部電気電子工学科
 松阪東部中学卒
 本校在学中に電験三種合格
教員
久しぶりだね。元気でやってるか? みんなちゃんと4年生になれたんだろうな(笑)
北村
もちろんなれましたよ。同じ学科で入学時の87名からそのまま4年生になったのは64名とだいぶ減りましたが、ちゃんと残ってます。
竹岡・野木
僕たちもちゃんと4年生ですよ。2年生になったとき同じ学科は120名いたのが、そのままは60名程度だけど、しっかりやってます。あともう1人、今日は来られなかったけど、N君も4年生です。
堀田
僕もちゃんと4年生になれます。
野木
同じくですよ(笑)
野木
あと、愛工大に行ったM君も、余裕で4年生ですよ。
教員
え〜、じゃあ、大学に進んだ7名とも誰も留年もせずに全員ストレートで4年生ってことか。
全員
当然ですよ。
竹岡
普通高校出身の人たちの方が、何をやりたいのかはっきりしていない人が多くて、ヤル気をなくして辞めたり、留年する人が多いですね。
教員
そうか。苦労してるかと心配してたけど、大丈夫なんだ。

野木基司
 名城大学 理工学部電気電子工学科

 多気郡大台中卒
 本校在学中に電験三種で3科目合格
 大学で電験三種合格
濱口将希
 鈴鹿高専 電気工学科4年に編入
 松阪鎌田中学卒
 本校在学中に電験三種合格
 高専在学中に電験二種合格
 現在、(財)中部電気保安協会勤務
教員
濱口はもう卒業して仕事してるんだったな。
濱口
はい。この4月から(財)中部電気保安協会で働いてます
教員
高専での成績はどんなもんだった?ちゃんとついていけたか?
濱口
卒業時の成績は高専の電気工学科47名中で4位でした。学校から努力賞をいただきました。
教員
4位!! それは、すごい。
濱口
5年生で電験2種に合格したんですが、もちろん僕一人で、教授からも同級生からも驚かれました。
教員
高専は、あまり電験はやらないの?
濱口
高専の先生方も「電験三種を取れ」って言われるんですが、特に補習とかはないので十数名受験して2名合格しただけでした。僕の場合、高校ですでに合格して4年生に編入しましたから、そのときもみんなに驚かれました。
教員
何て言われた?
濱口
「どんな勉強をしてるんだ」とか聞かれましたね。高校で教わったノウハウとか考え方をお話ししました。

教員
ジュンペイは専門外の大学に進学したけど、大丈夫か?苦労してないか?
野木
全然大丈夫です。今、同級生250人中16位です
一同
スゴイ!!
野木
僕も専門外だから最初は心配したけど、経済学は一から教えてもらってるし、情報の分野に関しては電気工学科で学んだことが活きてます。
教員
どんな部分が活きてる?
野木
ハードウェアに関しては、高校で基礎的な部分をやってあったし、ソフトウェアに関しても情報技術検定2級で基本的なアルゴリズムをやってたから結構楽でしたね。

野木淳平
 名古屋商科大学 経営情報学部
 松阪中部中学
 一般受験で大学に進学

「専門教科はバッチリ」

堀田拓哉
 中部大学 工学部電気システム工学科

 松阪中部中学卒
 本校在学中に電験三種合格
教員
でも、みんな工業高校では普通科に比べて英語や数学の時間が少なかったから、進学してから苦労したんじゃないか?
野木
一般科目、特に物理で苦労しました。
北村
やっぱり英語や数学が大変でしたね。
竹岡
数学、物理、化学が難しかったかな。
濱口
数学、英語、物理てした。
数学です。
教員
みんなどうやって切り抜けたんだ?
堀田
1年の時は本当に数学や英語で苦労しました。でもそのうち出身高校に関係なく、その人の努力次第で不得意科目は克服できるってことがわかりました。

竹岡
わからないところは人に聞きました。まわりには普通高校の出身者が多いので英数なら誰にでも聞けますからね。逆に専門教科がわかってる人は少ないので、みんなに聞かれて貴重がられてます
野木
そうそう。それに最初は一般科目が多くて大変だったけど、学年が上がるにつれて専門教科が増えてきてどんどん楽になるって感じです。
濱口
専門教科でも電気磁気学などは微分積分という数学を使って解くのですが、それをする前に高校で習った公式で答えはわかってた(笑)

竹岡邦洋
 名城大学 理工学部電気電子工学科

 松阪殿町中学卒
 本校在学中に電験三種合格

竹岡
電気回路理論もそうでした。微分方程式とかフーリエ解析を使って解くんだけど、解く前に全体的なことがわかっているので楽でした。
北村
電気機器とか応用分野なんてアホみたいに簡単ですよ。
野木
そうそう、電験三種でやったことばかりだもん。
濱口
電気機器とか電力関係の科目は本当に楽でしたね
野木
うん、電力とかエネルギーに関する科目も簡単でした。普通科出身の人は結構単位落としてたけど…。
北村
プログラミング言語も高校で基礎的なことをやってあったので楽だった。
野木
あとは実習。だいたいやったことのあることだし、何をするかわかっているのでよく理解できた。結線とか実習の段取りなんかは、ほとんど僕がやりました。
竹岡
普通高校出身の人たちってなかなか回路をくめないので、ほとんど僕が作りましたね。実習はほんとに楽でした。
教員
そうすると、専門科目でも基礎的な分野は、数学的な取扱でちょっと大変だったけど、応用分野はみんな自信満々って感じだな。

「学生生活を楽しんでます」
教員
学生生活はどうだった?
北村
カッター部に入ったので、毎日クラブをやりまくってました。レポートに追われながらアルバイトも出来たし、楽しい充実した学生生活を送ってますよ。あっ、大学は3年間休みなしの皆出席です。
野木モ
1年の時は、ヒーヒー言いながら勉強してましたが、2年になって専門教科が増えてから余裕が出てきてアルバイトやったり、下宿の仲間といろんなことをやって楽しんでます
堀田
ボーカル部といってバンド演奏のクラブをやってます。僕はずっとドラムを担当していました。3年生で引退したんですが、今までは、このクラブ活動と勉強を両立させるのが大変でした。
竹岡
クラブは高校時代から引き続き硬式テニスをやってました。学年が上がるごとにレポートが多くて、クラブとレポートでアルバイトするヒマはなかったですね。
濱口
高専1年目の4年生の時はまだ一般科目と専門科目が半々だったので苦労したけど、2年目の5年生の時はほとんどが専門科目でしたから、うんと楽でしたね。僕は、電験2種の勉強をやってました。4年生で理論と法規の2科目を合格して、5年生の時に機械と電力、それに2次試験に合格して、資格取得できました。
野木
高校時代と同じような生活してましたよ。クラブは水泳部に入ってました。愛知万博でアルバイトもしたりしました。大学は皆出席を続けてます。

「工業高校から進学してよかった」
教員
工業高校から進学してみて、正直どうだったと思ってる?
北村
工業高校から進学してよかったと思います。入試でも専門教科のことがわかっていたから、面接でいろんなことが語れました。
それと資格がたくさん取れたっていうのも大きいですね。とにかく、みんな僕の資格をみるとびっくりしてますから
竹岡
とにかく専門が楽だったのがよかったと思います。専門がわからないと自信が持てないし、自分の道を見失ってしまうけど、僕はそういうことは一切なかったから。
濱口
工業高校からの方が絶対いいですよ。実は、僕は中学の時はとても高専に入れるような成績じゃなかったんです。高専には僕よりはるかに成績のいい人が行きましたから。
でも、松工で専門教科を基礎からみっちりやって、資格でしごかれたおかげで高専に編入できたし、ただ入れたというだけでなく、その中でトップクラスの成績を収められたのだから、絶対にいいですよ。
教員
そういえば、濱口は高専から大学への編入は考えなかったの?
濱口
もちろん大学編入も考えました。だけど、電験二種に合格してこの資格を早く仕事で生かしたいと思い、就職することに決めました。
一同
そりゃそうだ。納得!!
野木
僕も経済学部だけど、特に不利は感じなかったのでよかったかなと思います。
堀田
大学の普通科出身の友達で、大学で学んでいることが自分のやりたいこととは違い、将来について悩んでいる人も多いです。
高校選びの時点でやりたいことが学べる学科に進学するのもいいと思います。もし、工業で学んだことが自分のやりたいことと違った場合、大学で路線変更も可能ですから。
野木
工業で資格をたくさん取れたのがよかったですね。電気工事や電験三種など大学に入ってから独力で取ろうと思っても自分では無理だったと思います。

「人間的な幅を広げて欲しい」
教員
これからの自分の目標とか、後輩に贈る言葉は?
野木
就職する予定です。液晶テレビの電子回路設計をやりたいと思っています。
後輩には、電験三種は絶対に高校で取って欲しい。僕は残り1科目を大学になってからとったけど、辛かったです。ここほど、いい環境はないと思うので、ぜひ、在学中に取得するべきです。それと、部活を頑張って欲しいです。人とのつきあいが大切ですから。
堀田
僕は、発電所管理とか配電管理の仕事をしたいので就職の予定です。
後輩には、やはり資格をしっかり取得しておくことと、学生のうちにクラブや遊びを通して、人とのコミュニケーション能力をしっかり身につけておいて欲しいです。
野木
工業系の製造会社に営業として就職するつもりです。工学のわかる営業ってことをウリにしたいですね。
後輩には、とにかく自分の進路は早く決めたほうがいい。僕は高校時代進路を決めるのが遅く、電気と関係ない学科を選んだのでちょっと苦労しましたね。
竹岡
オーディオ関係の研究開発の仕事をしたいと思っています。
後輩たちには、やっぱり資格を頑張ってほしいということと、大学進学を希望するなら、人間的に成長したいって気持ちを持って欲しいですね。僕は大学で部活などを通じていろんな人間関係を持つことができ、いろんな考え方やその場に応じた対応など、人間的な幅が大きくなったと思いますから。
濱口
後輩には学生時代は本当に時間がたっぷりあるんだから、勉強するにしても、遊ぶにしてしても有意義に使って頑張って欲しいと思います。
北村
三重大の大学院に進むつもりです。そこで材料系の研究をしたいと思っています。
後輩たちには、やっぱり勉強は大切だと言いたいです。
勉強をきちんとした上で、資格も生きてくるし、遊びや部活などの人間的なものも生きてくると思います。
とにかく、エンジニアをめざすのなら、これからずっと勉強がつづいていくわけですからね。
教員
ほんとに今日はありがとう。みんながすごく頑張っていて、それぞれに自信をもって自分の道を進もうとしているのがよくわかって本当に嬉しかったよ。
これからも頑張ってください。