本校は今年で開校30年目を迎えます。平成30年度に「松阪あゆみ特別支援学校」が分離・開校し、本校の通学区域が伊勢市・鳥羽市・志摩市・度会郡の3市4町になってから早いもので6年目となりました。この間に、地域の現状に沿ったよりよい学習スタイルを目指して高等部の教育課程(コース)の改編を行ったことにより、令和5年3月に高等部「職業コース」最後の卒業生が巣立ち、今年度からは高等部全生徒が新コース制で学んでいくことになります。児童生徒の将来を考えて、個々の障がい特性に応じた視点での学習内容に加え、グループや集団での活動を通して仲間を大切にし、責任をもって行動することや社会のルールを意識し、お互いに支えあって生きていくことも学んでいってほしいと考えています。
 この3年間、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、学習内容を変更したり、規模を縮小したりしながら、児童生徒の安心・安全を第一に考えて学習活動を進めてきました。まだ完全にコロナ禍が終わった訳ではありませんが、社会の状況を見ながら、学校教育ならではの協働的な学習を一層充実させると共に、ICTの積極的な活用を進めつつ、最大限児童生徒一人一人の可能性を最大限に伸ばしていけるよう、健やかな学びを保障していきたいと思います。
 学校所在地である三重県玉城町は、四季折々の果実栽培や園芸が盛んな自然に囲まれた地域です。世界遺産熊野古道の起点、そして伊勢参宮の宿場町であるという深い歴史のある町でもあります。その一方で大手企業の工場がいくつかあり、いろんな顔を持つ、豊かであたたかい地域です。この玉城町を始めとする、通学区域の皆様の特別支援教育に対するご理解の下、昨年度も玉城町役場やJR田丸駅の清掃、いじめ防止に向けたピンクマスクデーの取組など、様々な教育活動を行うことができました。平素の学習活動はもとより、キャリア教育や進路指導、交流及び共同学習の面で多大なご協力をいただき、充実した学習活動が展開できています。
 私たち教職員は、常に人権感覚を磨き、綱紀粛正に努めつつ、保護者の皆様や地域の皆様との絆を大切に、児童生徒が卒業後の社会参加と自立に向かって大きく羽ばたけるよう、全力で取り組んでまいります。
どうぞ、今年度もよろしくお願い致します。

令和5年4月

三重県立特別支援学校玉城わかば学園
校長  越知 ひとみ