三重県立盲学校

平成24年度理療科研修について

1 はじめに

今年度も、理療科では、日々の教育実践の中で、課題となっている事柄を取り上げ、研修テーマとした。年間8回の研修会をおこなった。4本の柱立てに沿って報告する。

1.自作模型・教材等について

2.デイジー教材作成について

3.現場実習等検討について

4.臨床実習における緊急時(防災)対応について

2 研修内容の詳細

1.自作模型・教材等について

全日盲理療分科会の参加に当たり、自作模型・教材等を持ち寄ることとなった。

まずは、それぞれの実践例を持ち寄り、全日盲の分科会に出す模型・教材を決定した。

  1. 第1候補 解剖学 血管の三層構造模型、動脈弁の構造模型。
  2. 第2候補 生理学 筋の微細構造模型
  3. 第3候補 解剖学 胚葉の構造模型
※その他に挙がった事例
・神経系の伝導路
・腎臓の糸球体
・心室と心房
・筋肉の起始・停止
・内耳の蝸牛管

全日盲には、血管の三層構造模型、動脈弁の構造模型を提出することとなった。

2.デイジー教材作成について

今年度は、まず、パソコンでの編集環境を整えるべく、各自使用のパソコンへのデイジー編集ソフトの導入を図った。全盲・弱視ユーザーパソコンへのインストールは終了し、大きな問題はなく使えることがわかったが、実習教員のパソコンについては、ソフトの導入・スムーズな使用ができるかどうか、さらに検証する必要がある。

またパソコンではなく、専用録音・再生機器であるプレクストークを使った編集・作成の手順についても、研修する機会を持ち多様な方法で対応できるようにすることも、手軽に作成できる環境作りには必要なことであろう。

一方、デイジー作成・編集の研修も必要だが、導入年度を決めて取り組まないと、なかなか実践には移向できないだろうという意見もある。

定期試験へのデイジー導入は、2014年度を目処としてはどうかという意見も出ている。非常勤講師の先生の試験の録音の取り扱いなど、検討する課題もあることが指摘された。

来年度以後も、継続して取り組む必要がある。

3.現場実習等検討について

来年度の県特研レポート発表に向けて、下記のようにまとめることとなった。

来年度に向けて各担当で執筆継続中。

レポートの中心課題:
職業教育
地域連携
学校の啓発活動
レポート名:
「本校における現場実習・啓発活動の取り組み〜あん摩マッサージ指圧の実習を通して〜」
 レポートの概要:
本校では児童・生徒が卒業後に居住地でスムーズに生活していくために、諸機関との連携を積極的に行っている。
また、現場実習や啓発活動を行い、視覚障がいや視覚障がい者の就労についての理解・啓発を進めている。
今回のレポートでは、これらの取り組みの中で理療(あん摩マッサージ指圧等)に関わるものに絞り、事例を踏まえ、成果と今後の課題について報告する。

レポートをまとめ挙げるための話し合いの中、見学実習についても議論された。

1、2年生の見学については、これまでそれぞれのクラスで行っていたが、ある程度人数をまとめて普段なかなか行けない大阪・名古屋などの大手の施術所に行くのが良いのではないかという意見が出された。

4.臨床実習における緊急時(防災)対応について

昨年度、臨床室における高血圧患者に対する対応マニュアルを作成したが、防災・緊急時の対応について継続して話し合うこととなっていた。

7月の理療科教員講習会、11月の理療科の防災についてのシンポジウム等で情報収集をおこない、研修会で潅流報告をおこなった。概要は、下記のとおり。



また、今年度臨床室での事例なども踏まえ、課題を検討した結果、高血圧患者への対応、認知症の疑われる患者への対応、体調不良患者への対応、警報発令時の患者対応など、防災、避難訓練に限らず緊急時のことも含め、危機管理として検討していく必要性が指摘された。

事象別のマニュアル作成が最終目標ではあるが、まずは、現有の患者への案内等の内容を確認しつつ、充実させる必要がある。

3 おわりに

昨年度末のまとめでは、情報処理、保険の取り扱い、他校との交流、施術技術、施術以外に必要となる技術等、取り組むべき研修課題が挙げられていた。年度が変わり、日常が始まると、ついつい日々の実践での課題を優先して取り組まざるを得なくなる。目の前の解決すべき課題に向き合いつつ、中長期的なテーマについても、継続して取り組む必要がある。

来年度は、まずは、県特研のレポートを完成したい。また、常に実践での課題を取り入れつつ、これまでの課題も一つ一つ解決できるような研修活動でありたいと考える。


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