三重県立盲学校

進路をみすえた自立活動の取り組み

2 実践の概要

(1)農作物の栽培、収穫等の作業

野菜の栽培・販売の作業は、土をつくる作業や種や苗植え、草抜き、水やり、収穫、袋詰め、販売などいろいろな過程があり、全員が参加することができる。また全体で行う作業や小さなグループで行う作業などがあり、仲間と協力し集中継続して作業を行う態度を養うことができる。また、自分が汗を流して栽培した野菜を収穫し、販売をすることで基本的な流通のしくみを知ることができる。このような理由から年間を通してこの作業を行った。

<目標>

<活動計画>

 1学期
店の名前の決定、看板作り
畑作りの作業・・草抜き、畑おこし、肥料入れ、畝づくり
夏野菜の種、苗の植え付け(なす、キューリ、トマト、レタスなど)
秋冬野菜の植え付け(サツマイモ、大根)
収穫、販売の作業
 2学期
夏野菜の収穫、選別、袋詰め、販売の作業
秋野菜の収穫、選別、袋詰め、販売の作業
  畑作りの作業、冬野菜の種、苗植え付け
3学期
畑作りの作業
春野菜の植え付け

<具体的な活動>

・店の名前の決定、看板作り

年度の初めに全員の話し合いの時間を設定し、意見を出し合って農作物などを販売する店の名前を決めた。その後、段ボール、画用紙や折り紙、ペットボトルのふたなどを使って点字と墨字の2種類の看板作りを行い、作業室の外側の壁に設置した。

・畑作り

電動耕運機「エレ菜」を使って畑を耕し肥料を入れ畝を作る作業と並行して、畑の中の石を拾う作業や除草作業などを分担して行った。耕運機を使うのは初めてで、最初は教員の補助が必要だったが何回も行ううちに慣れ、操作も上手くなり交代をしながら土を耕すことができた。畑の石を拾ったり、草を手で確認しながら取る作業も少しずつ根気よく続けることができるようになった。

・種、苗の購入

畑作りと並行して買い物グループが種や苗の購入を行った。買い物グループは、近くの店でグループのメンバーと相談をしながら苗や種を選んで購入し、植え付けは全員で協力して行った。毎日の水やりは主に重複クラスの「朝の会」の後半の時間を使って行い、葉や少しずつ大きくなる実を触って成長の様子を確かめた。

・収穫と袋づめ、販売の作業

収穫時は収穫販売グループ、畑の手入れグループに分かれて行った。プチトマトやキューリ、シシトウ、ピーマンなどは手で触って葉との違いがはっきりわかるので収穫しやすかったが、エンドウや小豆などは葉との見分けがつきにくく収穫するのに時間がかかった。

収穫した野菜の大きさを確認して均等になるように袋に入れたり、小さな野菜は重さを決めて測って袋に詰めたりした。またサツマイモなどは大中小の大きさに分別してどれが、商品価値が高いかを話し合い値段を決めた。スーパーで売られている値段を指導者が提示し、それを参考にしながら値段を設定した。

販売は袋づめにした野菜をかごに入れ、校内のいろいろな場所に出向いて行った。売りに来た野菜の種類や一袋の値段を伝え各場所で販売を行った。初めは声のかけ方やお釣りの計算がわからず販売にとても時間がかかったが、回数を重ねるとだんだんスムーズにやり取りができるようになってきた。商品の値段やお釣りの計算には個々の課題があり、個別の時間に時間をかけて反復した学習を行う必要があった。

 <まとめ>

・何種類かの野菜を栽培し販売することにより、自分の育てた野菜の収穫する喜びを味わい、流通の仕組みをおおまかに理解することができた。

・耕運機の使い方、種や苗の植え方、水やりの仕方、収穫、袋つめなどの作業など、これまで経験したことのない作業も個々のスピードに合わせてできるようになった。

・販売では、声の出し方や商品の渡し方、お釣りの出し方などを学習することができた。ひとり一人に応じた課題も確認する事ができたので、個別の授業の中でも取り組みを続けている。

・野菜作りのいろいろな作業を分担し、協力して行うことができた。作業を行う中で全体の中で指示を聞く力や継続して仕事を行う力も少しずつついてきた。


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