三重県立盲学校

普通科 学部研修のまとめ

学部テーマ
高等部普通科における自立活動のあり方を考える−歩行の実態からみえてくるものー

本年度、普通科では歩行指導を中心に学部研修を行った。1学期は三重県立特別支援学校教育研究会で発表するレポートの検討を行い、平行して前年度に作成した歩行のチエックリストを使って本年度のメンバーで再チェックを行い各個人の課題を話し合った。 その中で校外での歩行に焦点をあて2学期の研修を行った。また、3学期は弱視生徒の視機能検査法について、生徒の検査の結果について、iPad2の使い方についての研修を行った


研修の概要

1学期

5月に担任を中心に歩行のチェックを複数の教師で行った。その結果、生徒の実態を普通科の教師間で共有することができた。また個々の生徒の実態や課題等を話し合い、その後の指導にいかした。

話し合いの中で、下記のような課題や実態等が出てきた。

各教科の中で体の部位の名称や動かし方について指導していくこと、自分が歩いた道順をきちんと言葉にして言う練習をしたり、触地図をつくって歩いた道をたどったりしていく指導を入れていくことが大切であると確認した。また、匂いなどの感覚を鍛えることも大切であることを話し合った。


2学期

 1学期に話し合った課題の中で、校外での歩行、特に警察学校前のバス停から学校までの歩行指導について考えていくため教師間で体験的な研修を行った。

(1)学校から警察学校前バス停までのアイマスクをつけての歩行体験

二人一組になりアイマスクを付けて、学校の正門から三交バス警察学校前までの白杖を使っての歩行体験を行った。往路、復路で交代して片道の体験を行った。

何度も通り、ルートや周りの状態などをよく知っている道であるが、アイマスクをつけての歩行は難しかった。白杖から得られる情報、車や歩行者などのまわりの音、足で確認できる段差や道路の情報などを総合的に組み合わせながらの歩行は難しかった。特に165号線を渡る交差点では信号の音や車の音などが入り乱れ、点字ブロックが途中で途切れるところではランドマークになるものを見つけることが非常に難しかった。全盲の生徒がバス停から安全に学校まで歩行するためには多くの課題があることがわかった。

(2)運動場での歩行体験

  1. 20メートル離れた所にコーンを置き、アイマスクをしてまっすぐコーンまで歩く。コーンの位置を示すために最初に声を出して方向を伝える。
  2. 傘をさして同じようにまっすぐ歩く。
  3. 片手に荷物(5kg)をもって同じようにまっすぐ歩く。

目的のポイントまで直線でまっすぐ歩く体験を行った。最初に声のする方向をきちんと確認しその方向に体をまっすぐに向け、ある程度の速さで歩くことが大切である。歩き出しの足先の方向をまっすぐにすることがポイントになること、荷物を持ったり、傘をさすといいう行為をするだけで、まっすぐ歩くことが難しくなり方向が違ってくることを再認識した。


3学期

弱視生徒の視能力の検査方法について、検査結果についての研修

視力の測定の方法:遠見視力、近見視力の違いと測定法について、ドットカード、タックの使い方と測定方法について研修を行った。また。弱視生徒の実際の見え方についての研修を行い、高等部の職員間で情報を共有できた。

iPad2の使い方について

基本的な操作方法について研修を行い、実際に文字の入力などの操作を順番に行った。また、弱視生徒にすぐに使用できる学習補助ソフトの紹介と使い方についての研修を行った。

毎年、年度初めに新しい担任が歩行のチェックを行いその情報を共有し課題を話し合うことが大切である。また、課題に応じて教員が実際に体験を行い、どの部分が難しいか具体的にどのような指導をしていけばよいかを話し合うことも必要である。

また弱視生徒の見え方を共有したり、どのような教材が有効かを話し合うことも今後の課題である。


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