三重県立盲学校

寄宿舎研修のまとめ
「成人舎生の社会的自立をめざし支援のあり方を探る
」「学齢舎生の生活力を高める支援のあり方を探る」

寄宿舎には本年度中学部3人、高等部普通科7人、高等部理療科11人、計21人が在籍している。各舎生には担任や保護者と連携をとりながら、生活の目標をたてている。この目標をもとに、自立や社会参加に向けて統一した指導や支援ができるよう、毎年個別の支援計画を見直している。

内容
1統一した支援のあり方(見え方について)
2統一した指導のあり方(生活について)
3生活の見直しについて
4寄宿舎の特性を生かして

1統一した支援のあり方(見え方について)

今年度は新しい舎生を3人迎え、病名も見え方もそれぞれ違う。在舎生についても病気の進行により見え方が変化しているかもしれないので全員の見え方の現状を調べてみた。

夜間や昼間の薄暗いところが見えにくい舎生が多い。その反対に明るすぎるのも苦手な舎生がいる。天候や体調によっても見え方が違う。遠近感覚がないので衝突しやすく危ない。日常生活には特に支障はないが段差などが怖い。など舎生一人ひとりの見え方や不安を知ることができた。同じ生活空間の明るさもそれぞれに配慮が必要であり、設備面も改善がいる。また体調にも気を配り舎生が安全で安心して生活が送れるような支援のあり方を確認した。

2統一した支援のあり方(生活について)

特に支援が必要な舎生について、「食事」「排泄」「着脱」「就寝」「入浴」「学習」など基本的な生活習慣の実態や課題を出し合い、舎生一人ひとりの発達に合わせた指導方法を話し合った。到達点は同じでも職員によって支援の仕方が違っていたら舎生は迷う。発達段階に応じた目標をあげ、より効果的な支援ができるよう「統一した指導」を実践した。年度途中に実態や成長の経過を報告しあい、指導のありかたを検討し引き続き「統一した指導」を行った。舎生を丸ごと捉える機会になり生活目標や支援を計画する手立てになった。

3生活の見直しについて

生活の場である寄宿舎には集団生活に欠かせない日課がある一方、自由に使える時間もある。この自由時間をどのように過ごすか、のんびりと身体を休めるのも、友だちとにぎやかに過ごすのも、それぞれの個性がある。しかし、生活が定着しすぎて目的もなく時間が経過していき、新たなものを求めることが少ない。生活の流れを見直し、どのような手立てができるのかを話し合った。舎生は日々どのように過ごしているのか、日課に沿った様子と職員からの働きかけを調べた。そこから見えてきたのは、学齢期の舎生は毎日同じビデオやゲームをしていて遊びの幅がなく、職員から提示されないと遊べない現状が分かった。舎生3人をとりあげて自由時間を充実させ、将来的な自立を考えて舎生活を高めていけるようにしたいと取り組んだ。また、成人舎生に向けて、寄宿舎の生活を良くしていくためのアンケートをとって改善に向けている。今後も舎生にとって過ごしやすい生活を支援していきたい。

4寄宿舎の特性を生かして

通学生対象の「体験入舎」はとりくみを始めて8年目になり、通学生やその保護者からも期待され、定着してきた。放課後体験や宿泊体験を通して、家庭とは違ったところで過ごすことにより、家庭や寄宿舎の良さがわかり、学部の先生以外にも自分の思いを言葉にして伝える等の精神的な成長が発見できる。これらの意義はこれからの支援プランに生かしていきたい。

成人舎生を対象に週2回「点字サークル」をしている。参加舎生とコミュニケーションを深めつつ点字の触読に取り組んでいる。

寄宿舎ならではの特性を生かして、舎生・保護者の願いやニーズにこたえられるよう更なる充実をめざしたい。


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