高等部普通科における自立活動のあり方を考える
−歩行チエックリストの検討と作成―
高等部普通科では、現在、弱視・全盲の生徒11名が在籍し学習を行っている。これまでの生活の中で、いろいろな物に触って形や量などの認知する経験や体験が少ないために空間認知の力が弱い生徒が多い。自分の身体の部位についての意識やボディイメージが弱く、運動や基本的な動作についても確実な動きができない生徒もいる。また、校内のよく知っているルートしか移動できなかったり、教室内での物の位置関係や校舎の教室の並びや位置関係がわからない生徒もいる。全体に経験不足のため知識がとぼしく、思考においても広がりが少ない生徒がいる。視覚に障がいのある生徒は、視覚からの情報が得られなかったり、少なかったりするために発達段階で習得していく視覚的な経験や概念が形成されにくい。例えば「みぎて」「ひだりて」という言葉は知っていて、指し示すことができても「右」「左」という概念は入っていない場合がある。いろいろな物を意図的に触って物の形や空間認知の力を高め、いろいろな経験をさせていく中で形成されていく。
現状と課題をふまえ、生徒の実態をしっかり把握してそれに基づいた指導をしていくためにテーマを設定し研修を行った。
昨年度作成した歩行チェックリスト(自己の身体の理解、位置関係の理解)を活用して、個々の生徒の実態把握を行った。その中で見えてきた問題点について話し合うとともに、チエックリストの内容について再検討を行い、チェックする項目やチェック時の質問の仕方や観点などについて話し合った。
1学期にチェックリストを使って普通科生徒全員のチェックを行った。各担当者2名がチェックを行い、どこまで身体を理解しているか、位置関係が分かっているかを調査した。
その結果を集約して、全盲の生徒と弱視の生徒のちがいや、本校の生徒の弱い部分について話し合いを行った。
その中で以下のことが話題になり、問題になった。
チェックリストの調査をする中で、リストの調査項目の再検討、調査する側の意識の違い、発問の仕方や調査するときに使うものは何が適当か、評価の仕方が指導者個々によって異なる、などたくさんの検討課題が出てきた。そこで、検討を要する項目について小グループに分かれて話し合いを行いチェックリストの見直しを進め、別表1のリストを作成した。年度末に再度各生徒のチェックを行い、チェックリストの使いやすさや生徒の実態の変化について調査を行った。
チェックリストの項目を見直している中で以下の事に気がついた。
・「○○のうえ」という、表現だけでは机上での「うえ」か、高さの「上下」の「うえ」か分かりにくかった。
今後の課題として次のことが考えられた。