今年度は社会科と英語科で行う墨字データから点訳までの一連の作業について検討することにした。幾つかの点訳ソフトを試みることにしたが、両名とも健常教員であり、点字データにしてからの編集作業よりは、墨字段階での編集作業の方が能率的ということで、主として「お点ちゃん」を使用することになった。以下に利点や問題点等を上げる。
「お点ちゃん」は、無料でダウンロードできるフリーソフトで、漢字仮名まじりのテキストファイルを分かち書きの仮名テキストファイルとBSE又はBES形式の点字ファイルに出力するソフトである。
分かち書きのための辞書を充実させることができる。
点字文書を校正するのではなく、分かち書き用仮名データを原文と対照しながら編集するのであるから、点字に慣れていない健常教員には使用しやすい。
点字文書の編集機能はない。
分かち書き仮名ファイルを校正する際にも、それなりの点字のますあけを知らなければ適切なますあけは困難である。
日本語のみならば適切に機能するが、英数字、音符等には適していない。
生徒への課題は英語と日本語の入り混じった文章になるため、まずお点ちゃんで日本語の点訳ミスやますあけをチェックし、その後ウィンベスで書式を整えている。(ますあけや正しい点字の知識があればおてんちゃんは不要と考える。)
おてんちゃんもウィンベスも英語と日本語が入り混じった文章に対応はできるが、英文が外国語引用符でくくられてしまう。引用符は不要であるため、その都度消す必要がある。
ウィンベスの画面は、点字・ひらがな・英語等を選んで表示できるが、ひとつのパターン表示しか出来ないため、英語と日本語が混じった文は、どちらか一方が文字化けしたかのような意味のない文章のように表示されてしまう。そのため、言語に応じて表示パターンを選ばないといけない。
ウィンベスは略字に変換することができない。
おてんちゃんは、上書きが出来ない?いったん画面が自動的に閉じるので不便。
1級・2級点字が選べるので便利である。しかし、略字は中学2年生から徐々に段階を踏んで学習していくものであり、教材を作成するには個々に応じたレベルでの課題の作成が必要である。細かい略字のレベルを選ぶことはできないことを考慮するとあまり実用的ではない。(現時点では高等部に2級点字に対応できる生徒がいない。まだ略字は習い始めたばかりなので1級点字から1部を略字に手直しするほうが早い。)
ウィンベスなどで作成した1級英語点字を2級点字に変換することはできない。
以上、数回の研修で得た利点や問題点を挙げた。今後もいろいろな教科でテキストファイルからいかに能率的に点字データに変換するか、検討を進めていきたい。