今年度の点字グループは、『点字の初歩』について、取り組んだ。以下がその取り組みの概要である。
本校職員会議の点訳資料を用意し、自分達が日常作成する資料の正しい点訳について確認した。
参考資料や、実際の点字使用者の先生にも意見を聞きながら進めた。日常作成する文章についても、間違った解釈をしていたことなどがわかった。墨字表記のうち、記号や符号の付け方などで、点字に変換する場合の難しさを感じた。引き続き事例を上げながら確認していく必要性を感じた。
点字を書くときや、墨字の資料を点訳するときに、いつも迷うのが「分かち書き」である。市販の「点訳便利帳」(外部リンク)から、必要とされる項目を数点抜粋して問題にしたものを用意した。各自がこの問題に取り組み、正しい分かち書きについて確認した。
1.次の語句はどこで区切るでしょうか。
2.次の文章を区切りましょう。
3.点字で書きましょう。
「分かち書き」について確認できる良い機会となった。以前にも学習する機会を持っていたにもかかわらず、忘れていることが多くあった。『継続して点字を使用し、疑問点は常に確認し覚える』必要性を強く感じた。
書籍「中途視覚障害者への点字触読指導マニュアル」(外部リンク)をもとに、ステップ1の「教材1 行たどり(1)」「教材2 行たどり(2)」「教材3 点たどり」「教材4「め」までを付属の点字資料を印刷し、実際にアイマスクをして体験した。その後で、付属のCD―Rによる映像を見て、適切な指導方法を確認した。
今回の研修した教材は、テキストの順番に従って実践することで、中途視覚障がい者への適切な点字指導の方法を学ぶことができる教材だと感じた。また、付属のCD―Rで指導の実際を映像で見ることができるので、よりわかりやすいものとなっている。全職員が学習しておくべき教材であると感じた。
NHK教育『わくわく授業』で、横浜市立盲学校に勤務する道村静江さんの「手と心で読む1006字〜視覚障害児の漢字学習〜」が放映された。大変興味深い内容であり、本校の生徒にも授業の中で取り入れていくことはできないだろうかと考え、その内容を録画したものを視聴した。また、実際に道村さんが作成した『視覚障害者の漢字学習』のテキストをもとにして、本校の児童生徒に応じた対応について意見交換をした。
「漢字を学習することで、世界が広がり、いろいろなものに興味が出てきた。」「本をたくさん読んでみたくなった。」などの横浜市立盲学校の生徒の生き生きとした笑顔と感想が印象的だった。本校の場合は、パソコン入力の変換の際に行っている程度であるが、点字の習得ができた次の段階として取り入れていくといいだろうという意見が出された。
点字は、盲学校に勤務する教員にとって、必須である。しかし、点字習得が難しい重複生徒が増えてきている現状や点訳ソフトの普及などにより、点字を使う機会が少なくなっている。今回の研修により、日頃の点字に対する意識が高まり、基礎的基本的な事項が確認されたことがよかった。十分な点字指導が行えるようになるためには、日々、意識して自己研修をすすめる必要があるだろう。今年度の点字グループの研修は、自己研修への入り口としての取り組み内容であり、これを元に各自で課題を持って、継続的に取り組むことが必要である。
来年度への課題としては、今回のような点字初級の研修とは別に、初級を受けたものが引き続きレベルアップしていけるよう中級や上級の設定の必要性を感じた。各自の必要性に合った研修が望まれる。