三重県立盲学校

平成18年度点字グループ研修〜点字の初歩〜

今年度の点字グループは、『点字の初歩』について、取り組んだ。以下がその取り組みの概要である。

  1. 第1回 6月15日 【点訳の文章構成について】
  2. 第2回 9月22日 【分かち書きについて】
  3. 第3回 11月21日 【中途視覚障がい者の点字指導について】
  4. 第4回 1月19日 【視覚障がい児の漢字学習について】
  5. 【反省と課題】

第1回 6月15日

【点訳の文章構成について】

本校職員会議の点訳資料を用意し、自分達が日常作成する資料の正しい点訳について確認した。

〈確認された事項〉
日付を書く位置は右端に。
見出しの括弧は、3・6の点ではなくて、2・3・5・6の点で。
かぎ括弧の順番について。
墨字の場合、箇条書きに・を使うが、点字では使わないほうがよい。
表題の前にあけるますあけの数や文章の構成について。

〈反省と課題〉

参考資料や、実際の点字使用者の先生にも意見を聞きながら進めた。日常作成する文章についても、間違った解釈をしていたことなどがわかった。墨字表記のうち、記号や符号の付け方などで、点字に変換する場合の難しさを感じた。引き続き事例を上げながら確認していく必要性を感じた。


第2回 9月22日

【分かち書きについて】

点字を書くときや、墨字の資料を点訳するときに、いつも迷うのが「分かち書き」である。市販の「点訳便利帳」(外部リンク)から、必要とされる項目を数点抜粋して問題にしたものを用意した。各自がこの問題に取り組み、正しい分かち書きについて確認した。

〈問題〉

1.次の語句はどこで区切るでしょうか。

@自立語
美しい山桜
ゆっくり歩く
早くする
勉強できる
わがまま言う
朝早く起きる
A付属語
点字を書く
駅まで歩く
食べてばかりいる
歩きながら手を振る
どうなのですか
考えさせられる
花のようにきれいだった
聞くべきだったらしい
B形式名詞 
悲しみのあまり
忘れずに読むこと
わたしの生まれた頃
その点について
家に帰ったところ
そういうわけ
  C副詞・連体詞
ああすれば、そうする、どうしようか
あの建物、あるところ、この本
わが友、ある時、この間
この度、わが家、そのまま
どのみち 
D補助動詞
日本において
彼にとって
おはようございます
持っていく
Eする
命ずる、愛する、関する
恋する、心する、楽する
F複合語
第1回、子供たち、新校長
校長宛、最優秀賞、各党
前校長、超現実的、反社会的
全5巻、柱時計、株式会社
心苦しい、力強い、桜並木
時代錯誤、点字用紙、身体障害者手帳
松並木、右半身、ガラス拭き
夏休み、盲学校、川端康成
田中さん・、太郎ちゃん、横浜市神奈川区松見町
横浜市立盲学校、三重県教育委員会、北高校
生徒減、3時発、盲学校着
ゆいレール、津駅、名鉄特急
バスターミナル、宿泊ホテル、チェックアウト

2.次の文章を区切りましょう。

3.点字で書きましょう。

〈反省と課題〉

「分かち書き」について確認できる良い機会となった。以前にも学習する機会を持っていたにもかかわらず、忘れていることが多くあった。『継続して点字を使用し、疑問点は常に確認し覚える』必要性を強く感じた。


第3回 11月21日

【中途視覚障がい者の点字指導について】

書籍「中途視覚障害者への点字触読指導マニュアル」(外部リンク)をもとに、ステップ1の「教材1 行たどり(1)」「教材2 行たどり(2)」「教材3 点たどり」「教材4「め」までを付属の点字資料を印刷し、実際にアイマスクをして体験した。その後で、付属のCD―Rによる映像を見て、適切な指導方法を確認した。

 〈反省と課題〉

今回の研修した教材は、テキストの順番に従って実践することで、中途視覚障がい者への適切な点字指導の方法を学ぶことができる教材だと感じた。また、付属のCD―Rで指導の実際を映像で見ることができるので、よりわかりやすいものとなっている。全職員が学習しておくべき教材であると感じた。


第4回 1月19日

【視覚障がい児の漢字学習について】

NHK教育『わくわく授業』で、横浜市立盲学校に勤務する道村静江さんの「手と心で読む1006字〜視覚障害児の漢字学習〜」が放映された。大変興味深い内容であり、本校の生徒にも授業の中で取り入れていくことはできないだろうかと考え、その内容を録画したものを視聴した。また、実際に道村さんが作成した『視覚障害者の漢字学習』のテキストをもとにして、本校の児童生徒に応じた対応について意見交換をした。

 〈反省と課題〉

「漢字を学習することで、世界が広がり、いろいろなものに興味が出てきた。」「本をたくさん読んでみたくなった。」などの横浜市立盲学校の生徒の生き生きとした笑顔と感想が印象的だった。本校の場合は、パソコン入力の変換の際に行っている程度であるが、点字の習得ができた次の段階として取り入れていくといいだろうという意見が出された。


【反省と課題】

点字は、盲学校に勤務する教員にとって、必須である。しかし、点字習得が難しい重複生徒が増えてきている現状や点訳ソフトの普及などにより、点字を使う機会が少なくなっている。今回の研修により、日頃の点字に対する意識が高まり、基礎的基本的な事項が確認されたことがよかった。十分な点字指導が行えるようになるためには、日々、意識して自己研修をすすめる必要があるだろう。今年度の点字グループの研修は、自己研修への入り口としての取り組み内容であり、これを元に各自で課題を持って、継続的に取り組むことが必要である。

来年度への課題としては、今回のような点字初級の研修とは別に、初級を受けたものが引き続きレベルアップしていけるよう中級や上級の設定の必要性を感じた。各自の必要性に合った研修が望まれる。


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