三重県立盲学校

歩行グループ研修
〈4〉・視覚障害者への接し方・ガイドの仕方の資料作成

視覚障害者にまだ接したことのない人々に対して、2時間前後の話しや実技を求められることがしばしばある。関係図書はいくつかあるが、コンパクトにまとめたものはないかとの声を聞く。そこで、今回、以下のような資料を作成してみた。

*<備考:文中の「NG」とは、NO GOOD(良くない)を意味します。>

  1. 視覚障害による不便さと補いの方法
  2. 視覚障害の程度
  3. 様々な背景を持つ視覚障害者
  4. リハビリテーションの経過
  5. ことばによるガイド
  6. 手引きによるガイド

1.視覚障害による不便さと補いの方法

@情報の収集 (点字・録音・パソコン・介助者等)

 A歩行 (白杖・手引き・盲導犬等)

・白杖:
路面や方向・障害物・危険箇所を知る
視覚障害者の存在を他に知らせる
・手引き:
安全確実に目的地に達する
その場に応じたわかりやすい説明
ときには文字の読み書きも
さりげない援助
プライバシーの保護
自分の判断を押しつけない
・盲導犬:
安全で確実、すばやく、楽しく歩ける

2.視覚障害の程度

 @全盲

 A光覚、眼前手動、指数弁

 B弱視(ロービジョン)

<・多様な見え方…
視力、視野、明るさ、時間帯
網膜色素変性症:
針の穴ほどの視野 羞明(まぶしさ感) 暗順応の遅延
黄斑部変性症:
中心部が見えない
白内障:
曇りガラス様の見え方(中間色が見にくい、明るすぎると見えにくい)
中枢性視覚障害:
見えているが、それが何であるかがわかりにくい
糖尿病性網膜症:
(病状に応じたガイドが必要)

※@〜Bについては、アイマスク・シミュレーションレンズの使用により疑似体験できるが、視覚障害者のすべてを体験できるものではない。


3.様々な背景を持つ視覚障害者


4.リハビリテーションの経過

@中途視覚障害者の場合

障害発生→失明宣告→混乱・葛藤→受容→回復→適応→社会復帰

A先天盲・学齢児の場合

障害発生→失明宣告→とりあえずの適応→成長(事実の認識)→混乱・葛藤→受容→回復→適応→社会参加


5.ことばによるガイド

 @声かけ

「どこまで行かれますか?」

「出口までご一緒しましょうか?」

「・・さん、こんにちは、××です」

「あっ!危ない!ストップ! …、 もう、大丈夫です」

「危ない!右へ一歩よって」

「ちょっと席外しますね」 … 「あっ、どうも」

 Aわからない表現 = 指示代名詞

あれ、これ、あっち、こっち、そちら、あちら、あの信号のところ、こうして、こんなふうに、

「こっち、こっち」

「出口はどちらですか?」

「あそこです」

「どこを押せばいいですか?」

「そこの赤いボタンです」

 Bわかりやすい表現 = より具体的に表現

視覚障害者から見て  左・右、前・後、手前・奥

何メートルぐらい、何歩ぐらい、10分ぐらい歩いて…

手を取って具体的に方向を示す

クロックポジションによる方向の指示(中心の位置を明らかに)

大まかな説明と詳細な説明

触れられるものは、触ってもらいながら説明

 C考慮を必要とする表現

「テレビを見る」=OK

「このでっぱりは黄色なんですけど、これをね…」=OK

「黄色いところを…」=NG


6.手引きによるガイド

 @基本的手引きの方法

NG.視覚障害者の上体や腕を抱え込む、手を引っ張る

NG.後ろから押す

      NG.白杖を引っ張る

 A応用的手引きの方法

a.狭いところを通過するとき
腕を後ろに回し、ガイドの真後ろについてもらう
b.椅子へ案内する
背もたれのある椅子
長椅子・電車の長椅子
座布団
劇場などの椅子

*上体を抱え込んで座らせる=NG

c.戸口を通過する
普通のドアや引き戸
自動ドア
自動改札
エレベーターやエスカレーター
d.階段のガイド
手引き者が一段先を進む
上り階段、下り階段
螺旋階段
e.乗り物の乗降
電車
バス
乗用車
遊園地の乗り物
f.トイレの案内
洗面台の位置
洋式か和式かなど、種類の確認
水洗の位置(コック、ペダル、センサー…)
便器の向き
ちょっと離れて、出入り口付近で待機
g.複数の視覚障害者を一人で手引きする
h.伴走や登山、スキー、スケートでのガイド

B町でであったときのガイド

NG.黙って止めたり引っ張る


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