1 現状と課題
(1)児童生徒に関わること
・視覚障がいの特性から、安全に自由に行動することができにくく、受け身になりがちである。
・視覚に障がいのある人の就労は困難な状況にある。
(2)学校・教職員に関わること
・学校行事や対外的な活動に仲間とともに積極的に参加する児童生徒の育成が求められる。
・視覚障がい教育の専門性の維持・発展のため、県内の関係各機関と連携していく必要がある。
(3)家庭・地域等に関わること
・視覚障がいは発生率が低いため、該当の児童生徒は県内に点在しており、本校に在籍している児童生徒は少数である。
・全県一区の学校であるため、学校所在地の地域自治会等との連携が進めにくい。
2 学校教育目標
(1)めざす学校像
三重県の視覚障がい教育の中核的役割を果たすとともに、児童生徒一人ひとりが尊重され、夢や目標に向けチャレンジできる学校。
(2)教育目標
・真理と正義を大切にし、自主独立と協調の精神を養う。
・一人ひとりの可能性を開発し、知性をみがき、学力の向上をはかる。
・健康安全教育の徹底をはかり、体力づくりにつとめる。
・社会性を培い、情操を養う。
・人権教育を推進し、人権の尊重と敬愛の精神を養う。
3 人権教育カリキュラム
(1)小学部
@めざす子ども像
・明るくたくましい子ども。
・課題をもち、解決しようとする子ども。
・みんなの中でなかよく活動できる子ども。
A人権教育の目標(子どもにつけたい力)
ア 健康や安全に気をつける態度を身につけ、自分や他人を大切にする気持ちを育てる。
イ 目標や問題解決にむけて自分で考え、自分の気持ちや考えを相手に伝わるように発信できる力を養う。
ウ 友だちの良いところを認め、友だちの気持ちや意見を尊重し、協力や助け合いができる心を育む。
B教科・部等・その他の校務分掌における取組
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取組内容
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つけたい力
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ア
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イ
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ウ
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教科・領域等
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◎共通 基礎学力を充実させるとともに、学習や生活の中で人権感覚を養えるような取り組みをする。
○道徳 ・基本的な生活習慣の大切さを知り、社会生活上のきまりを身につけさせる。
・相手のことを思いやり、協力し助け合う態度を身につけさせる。
・社会の一員として働くことの大切さを知り、自分の役割や仕事に責任を持ってやり遂げさせる。
○自立活動 自らの障がいを認識し、受容し、その改善、克服のために必要な知識、技能、態度を育てる。
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○
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C人権学習計画
学年
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学期
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学習内容
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つけたい力
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ア
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イ
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ウ
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低学年
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1学期
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・約束やきまりを守る。
・気持ちの良いあいさつを心がける。
・健康や安全に気をつけて、規則正しい生活をする。
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○
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○
○
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2学期
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・みんなが使う物を大切にする。
・友だちと仲良くし、助け合う。
・身近な自然に親しみ、動植物にやさしい心で接する。
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○
○
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○
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3学期
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・良いことと悪いことの区別をし、良いと思うことを進んで行う。
・気持ちの良い言葉遣い、行動を心がける。
・働くことの良さを感じて、みんなのために働く。
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○
○
○
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○
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中学年
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1学期
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・よく考えて行動し、節度のある生活をする。
・礼儀の大切さを知り、誰に対しても真心を持って接する。
・自分でできることは自分でする。
・自然や動植物を大切にする。
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○
○
○
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○
○
○
○
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○
○
○
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2学期
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・自分の悪いところに気づき、直そうとする。
・友だちと互いに理解し、信頼し、助け合う。
・自分でやろうと決めたことは、粘り強くやり遂げる。
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3学期
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・正しいと判断したことは、勇気をもって行う。
・相手のことを思いやり、進んで親切にする。
・働くことの大切さを知り、進んでみんなのために働く。
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○
○
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○
○
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○
○
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高学年
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1学期
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・自分の生活を見直し、節度を守り節制に心がける。
・時と場をわきまえて、礼儀正しく真心をもって接する。
・生命の尊さを感じ取り、生命あるものを大切にする。
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○
○
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○
○
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○
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2学期
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・自分の悪いところを改め、良い所を伸ばす。
・自分の役割を自覚し、協力して主体的に責任を果たす。
・働くことの意義を理解する。
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○
○
○
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○
○
○
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3学期
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・誠実に明るい心で楽しく生活する。
・誰にでも思いやりの心を持ち、相手の立場に立って親切にする。
・社会に奉仕する喜びを知って、公共のために役立つことをする。
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○
○
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○
○
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○
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学年
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学期
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学習内容
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つけたい力
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ア
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イ
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ウ
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全学年
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1学期
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・お話の会に向けて、自分の思いや考えを表現し、伝える力をつける。また、友だちの発表を聞いて、そのよいところを認める。
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○
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2学期
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・体育祭、文化祭などの取組において、友だちと協力し、よりよいものを作り上げようとする。また、友だちと協力することの大切さに気づく。
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○
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○
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3学期
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・マラソン大会に向けて、健康に気をつけながら、向上心をもって練習に取り組む。
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○
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通年
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・日々の学習や学校生活の中で、仲良く協力し、困ったときは助け合う。
・友だちとみんなで協力して考えた、学年、学期ごとの目標を達成できるようにがんばる。
・交流学習や共同学習で、他校の友だちと積極的に関わり、
学び合って友情を深める。
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○
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○
○
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(2)中学部
@めざす生徒像
・互助の気持ちと、豊かな人間性を持つ生徒。
A人権教育の目標(子どもにつけたい力)
ア 日常生活に必要な基礎的な力や豊かな表現力を育む。
イ 個を尊重し他人を思いやる心を育てる。
ウ 仲間と助け合い協力して生活できる態度を養う。
B教科・部等・その他の校務分掌における取組
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取組内容
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つけたい力
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ア
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イ
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ウ
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普通学級
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〇国語
自分の思いや考えを正しく伝えるための言葉の力を養う。
〇社会
基本的人権の考え方を理解し人権意識を高める。
〇数学
数学的活動を通して、知識・技能の定着を図ると共に、思考力・表現力の育成ならびにそれらを進んで活用する態度を養う。
〇理科
科学的思考を通し物事を合理的に判断する力を養う。
〇英語
外国語学習を通して異文化に興味・関心を持ち、異文化に対する理解を促進する。
〇音楽
歌唱・楽器演奏等を通して表現の幅を広げ、豊かな情操を養う。
〇美術
様々な作品制作を通じて自分なりの表現方法を見出し、感性を育てる。
〇保健体育
チームプレイを通して相手を思いやる力を育てる。
〇技術・家庭
情報・調理等を通して実践的な生活力を培う。
〇道徳
相手の気持ちを考える態度を養う。
〇特別活動
校外学習等の体験を生かして集団や社会のルールを理解し、よりよい人間関係を築こうとする態度を養う。
〇自立活動
自らの障がいを認識し、受容し、その改善・克服のために必要な知識、技能、態度を育てる。
○総合的な学習の時間
体験的な活動を通して、様々な物の考え方や主体的に判断する力、生活に役立つ力を育てる。
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重複学級
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○国語
思ったことを自分の表現で伝えようとする意欲を育てる。
〇数学
数字の順序、比較、お金の計算や時間など「生活に生きる数」を育成する。
〇音楽
歌唱・演奏を通して自分から表現しようとする気持ちを育てる。
〇美術
作品制作を通じ、自分なりの方法で表現しようとする態度を育てる。
〇保健体育
チームプレイを通して相手を思いやる力を育てる。
〇職業・家庭
衣食住に関する学習を通して基礎的な生活力を養う。
○道徳
相手の気持ちを考える態度を養う。
〇特別活動
校外学習等の体験を生かして集団や社会のルールに対する意識を高める。
〇自立活動
自らの障がいを認識し、受容し、その改善・克服のために必要な知識、技能、態度を育てる。
○日常生活の指導
基本的生活習慣習得に向けての基本的な技能や態度を育てる。
〇生活単元学習
社会生活上の基本的なルールに対する意識や仲間と協力する態度を育てる。
〇作業学習
障がいによる困難を克服するための知識や技能を育てる。
○総合的な学習の時間
体験的な活動を通して、自ら考え、生活に役立てる態度を養う。
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○
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C人権学習計画
学年
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学習内容
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つけたい力
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ア
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イ
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ウ
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1学年
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○普通学級
身近にある差別や偏見を知る。
○重複学級
自分の気持ちを素直に表現する。
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○
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○
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2学年
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○普通学級
差別や偏見を許さない心を養う。
○重複学級
相手の気持ちを考えた行動を身につける。
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○
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○
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3学年
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○普通学級
差別や偏見を許さない態度を身につける。
○重複学級
助け合い協力する態度を養う。
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○
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○
○
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(3)高等部・高等部専攻科
@めざす生徒像
・真理と正義を大切にし、自主独立と他者を尊重する協調の精神を持って社会に適応し、自己実現に向けて自ら行動できる生徒。
A人権教育の目標(生徒につけたい力)
ア 基礎学力の向上、基本的な生活習慣の確立を図り、社会適応能力を高める。
イ 他者を尊重しつつ、自分の考えや思いを表現する力を身につける。
ウ 様々な個の存在を理解し、協力しつつ主体的に生きる態度を養う。
B教科・部等・その他の校務分掌における取組
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取組内容
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つけたい力
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ア
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イ
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ウ
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普通科普通学級
・本科保健理療科
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○国語
多様な作品に触れたり、又、身近な題材を取り上げたりしながら他者の立場や心情を理解できる力を育てる。自分の中に湧き出る感情を大切に受け止め、自分の気持ちや意見を他者に正しく伝えることを通して、共に考える力を養う。
〇社会
人権思想発展の経緯を理解することにより、自他の人権を尊重する態度を育む。
〇数学
数学的活動を通して、物事を整理しながら解決する能力を養う。
〇理科
生命の誕生・成長を学習する中で、それぞれの命の大切さ、尊さについて考える力を育む。
〇外国語
異文化に触れる場を設定し、外国の文化を積極的に理解しようとする姿勢を育てる。
〇家庭
家庭や家族の中の一員として自己を見つめ、自己の生活力を高めるとともに、共生社会の中で主体的に生きる力を育む。
〇音楽
我が国や世界の諸民族の音楽にふれる事で、その多様性を深く理解する力を身につけ、自分の思い・考え・感じた事を言葉や演奏によって表現する力を育む。
〇美術
創作活動を通して、自他の作品の良さを認めあう態度を養う。
〇保健体育
スポーツを通して、共に身体を動かし、協力したり、競ったりする中で、ルールやマナーを大切にする態度を育てる。
〇情報
人権に留意して、情報発信・情報活用する態度と実践力を育てる。
〇特別活動
校外学習などの体験活動を通して、集団生活を送る上でのルールやマナーを理解し、実践する力を育てる。
〇自立活動
自己管理する力や、社会参加するための基本的な知識や技能を養う。
○総合的な学習の時間
体験活動や見学・話し合い・発表などの学習活動を通して、問題解決や探究活動に主体的・創造的・協同的に取り組む態度を育て、自己の生き方についての考察につなげる。
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普通科重複学級
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○国語
他者の話をきちんと聞き、自分の気持ちや意見もわかりやすく人に伝える力を養う。また、他者に疑問を持ったり、共感したりといった湧き出てくる自分の感情を大切にし、相手に伝えようとする態度を養う。
〇社会
国や地域の暮らしや文化を知り、それぞれを認めあう心を育む。
〇数学
数量や長さ・重さの単位等を理解し、生活に必要な知識を養う。
〇理科
さまざまな生命を知ることにより、それぞれの命の大切さや尊さについて関心を高める。
〇英語
外国語を学習する中で、異文化についての興味・関心を高める。
〇音楽
歌唱・演奏を通して自ら様々な表現をしようとする気持ちや態度を育てる。
〇美術
作品制作を通じ、自分なりの方法を見つけ、自ら表現しようとする気持ちや態度を育てる。
〇保健体育
スポーツを通して、共に身体を動かし、協力したり、競ったりする中で、ルールやマナーを大切にする態度を育てる。
〇特別活動
校外学習などの体験活動を通して、集団生活を送る上でのルールやマナーを知り、守ろうとする気持ちや態度を育てる。
〇自立活動
障がいによる生活上の困難を、有する能力の駆使と工夫により克服し、社会的自立に向けての気持ちや態度を培う。
〇作業学習
触察能力や手指の巧緻性を高め、障がいを補う作業技術を高める。
〇生活単元学習
生活に基づいた目標や課題を達成させるための活動に実際的・総合的に取り組み、生活上の課題処理や課題解決のための力を育む。
〇日常生活の指導
日々の生活に必要な動作・習慣を身につけると共に、周囲の人との円滑な関係を築くための様々なスキルを培う。
○総合的な学習の時間
体験活動や見学・話し合い・発表などの学習活動を通して、問題解決や探究活動に主体的・創造的・協同的に取り組む態度を育て、自己の生き方についての考察につなげる。
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本科保健理療科・専攻科
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○理療全教科(本科保健理療科は自立活動を含む)
・理療および保健理療の施術者として求められる倫理を理解し、患者の気持ちに寄り添った施術を行うための道徳観や人権感覚を育む。
・地域の医療・保健・福祉機関での実習を通して、社会の多様な価値観を理解し、地域社会に貢献できる実践的な能力を培う。
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C人権学習計画
学年
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学習内容
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つけたい力
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高等部1学年
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○普通学級
身近にある差別や偏見を知る。
○重複学級
自分の気持ちを素直に表現する。
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高等部2学年
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○普通学級
差別や偏見を許さない心を養う。
○重複学級
相手の気持ちを考えた行動を身につける。
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○
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○
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高等部3学年
専攻科
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○普通学級
差別や偏見を許さない態度を身につける。
○重複学級
助け合い協力する態度を養う。
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○
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○
○
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(4)寄宿舎
@めざす舎生像
・現在から将来に渡り健康・安全に留意し、他者と協働しながら自己の生活を創造し、自己実現に向けて行動できる舎生。
A人権教育の目標(舎生につけたい力)
ア 自分自身を見つめると共に自分の意見や考えを持ち、それを表現できる力を育む。
イ 集団生活の中でお互いの気持ちを尊重し、ルールやマナーを守り、よりよい生活を築くことができる力を育む。
ウ 健康・体力の保持増進を図ると共に安全な環境を整え、意欲的に生活を送ることができる力を育む。
B教科・部等・その他の校務分掌における取組
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取組内容
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つけたい力
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ア
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イ
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ウ
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行事等
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○日常生活
・挨拶・対話など、積極的なコミュニケーションを通じ、寄宿舎生活を円滑に営む態度を育む。
・生活時間を意識して守らせ、集団生活をより良くする態度を育てる。
○舎生会活動
・ 舎生会役員を選び、役員としての責任を果たすことで、舎生会の一員であることを自覚し、自主・自律の気持ちを育む。
・生活の課題や問題点に関し対話を通じて解決を図ることで、自主・協働の気持ちを育む。
○寄宿舎行事
・全員が協力して楽しく行事を行い、集団への所属感を高めると共に寄宿舎生同士のより良い信頼関係を構築する。
・生活に節目を付け、気持ちを新たにし、生活への意欲を育む。
○交流
・他校寄宿舎との交流を行うことで、自分自身を見つめると共に他の障害についての理解を深めさせ、より豊かな人間性を育む。
○舎外活動
・近隣スーパーへの買い物等の活動を通じて、学校周辺の地域の一員であることを自覚させ、より豊かな寄宿舎生活が営める力を育む。
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C人権学習計画
学年
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学期
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学習内容
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つけたい力
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ア
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イ
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全学年
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1学期
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生活目標である「挨拶をしよう」「友だちと仲良くしよう」について考える機会を設け、実践する。
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○
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○
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2学期
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よりよい寄宿舎生活を目指し、みんなで話し合い協力していく。
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3学期
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自分を振り返り、成長や課題を考え発表する。
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4 教職員研修
(1)基本的な考え方
・人権教育の研修により、人権意識・人権感覚の高揚に努める。
(2)教職員研修計画
・8、1月 人権教育研修会 人権フィールドワーク
5 推進体制
(1)校内体制
@
人権教育推進委員会
・構成 校長、教頭、各学部・寄宿舎代表1名
・内容 人権教育に関わる取組内容の計画
・回数 月1回
(2)学校間・校種間連携、保護者・地域との連携等
@ 学校間交流
・同世代の子どもたちとの友情を深め、今後の交流の素地を作る。
A
居住地校交流
・生活経験の拡大と社会性の伸長を図る。
・居住地域の児童生徒とともに学習することにより、学習内容の拡大と自己啓発の素地を育てる。
・居住地域の小中学校児童生徒の視覚障がいに対する理解を深める。
・地域社会の子どもたちとの交友関係を構築し、友情を深めることで、社会生活の基盤を作る。
B
地域との連携
・職域開発・職場開拓や福祉行政機関との連携を通じて、視覚障がい者理解に向けての啓発活動を行い、生徒の進路選択の幅を広げる。
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