高大連携事業  平成29年度 生命科学特別授業
日時 担当教員 テーマ
 第1回
 5月9日(火)
竹内 万彦 先生
(耳鼻咽喉・頭頸部外科)
『線毛のしくみとはたらき』
第2回
5月22日(月)
岸和田 昌之 先生
(肝胆膵外科)
『膵ぞうがんって何だろう?』
第3回
6月19日(月)
竹村 洋典 先生
(家庭医療学)
『これから日本が直面する高齢化社会における総合診療の必要性』
第4回
6月22日(木)
島本 亮 先生
(呼吸器外科)
『移植医療の現状と問題点 -心臓移植-』

第5回
7月4日(火)
→台風の為9月6日(水)に変更
武田 多一 先生
(救急科)
『災害時の受援と支援を考える』
第6回
7月12日(水)
杉本 昌彦 先生
(眼科)
『視機能喪失の予防と改善』

     

授業の様子

≪第1回≫
 
  


≪第2回≫
 
  


≪第3回≫
 
 


≪第4回≫
 
 


≪第5回≫
 
  

 

生徒の感想

≪第1回≫

線毛について、今まで全くと言っていいほど知識を持っていませんでしたが、今回お話を聞き、動くものと動かないものがあること、そして、それは微小管のわずかな構造の違いによるものであることを知り大変驚きました。原発性線毛運動不全症のお話の中では、保因者数の計算方法を学び、計算する中で保因者は多く、身近な人または自分が保因者である可能性があると気づかされました。実際に遺伝子配列の異常を調べることを通じてより理解が深まりました。体の小さな部分の大きな働きを知ることができ、とても有意義な授業でした

心臓が左にある理由が線毛の運動であったことに驚きました。自分が常識として知っていることを深くつきとめていくと、色々な発見があって面白いと思いました。保因者の確率が70人に1人で、とても高いように感じました。人間のゲノムは約30億塩基対で、その中から変異した塩基を見つけるのはとても大変だと思いました。また、塩基が1つ混入するとアミノ酸配列が全く違ってくるのを実際に確認してわかりました。中心微小管やダイニンの腕がない線毛もありました。動かない線毛があることを初めて知りました。



≪第2回≫

膵臓がんは他のがんよりも圧倒的に危険だということを知りました。5年生存率も7%と、他のがんで50%以上のものがあるにもかかわらず圧倒的に低いことに驚かされました。症状もお腹が痛いとか、腰が痛いとか、膵臓の位置のせいでがんとは気づきにくく、早期発見が大変難しいということがわかりました。発見したときには、もう手遅れとなっている人が4分の3もいると知り、早期発見に結びつく新しい方法を見つけることができれば、とても多くの人々を救えるだろうと思います。

先生の学生時代の様子や大学での生活、医者としての生活を教えて頂き、僕らが知らないことを多く聞けて良かったです。また、ザンビアの先生の話が英語だったのでとても驚いたが、「意思あるところに道あり」というような言葉がとても印象に残りました。岸和田先生の授業では手術の動画を見せてもらい、将来の仕事の様子が少しイメージできるようになってきました。今勉強している教科がすべて将来に必要だと感じたので今後も頑張りたいです。



≪第3回≫

今回の話を聞いて印象的だったのは、団塊の世代が高齢になり亡くなっていくと日本の人口は一気に減り医師が余ってくるということでした。また、日本とアメリカでの医療のシステムがまったく違うことに驚きました。日本の医療システムでは2025年あたりに限界がきてしまうことについて今後どうなるか心配になりました。救急車がアメリカでは1km5万円ということを知り、日本では無料なのが恵まれているのか、無料だから軽傷の人でも使ってしまい、医療現場からすると困っているのか、どちらがいいのか考えさせられました。

三重県は総合診療医が全国的に多いことを初めて知りました。今は医師が不足していて、団塊の世代や団塊ジュニア世代が生産年齢から外れたとき、日本の医療はどうあるべきなのかを考えさせられました。 また、私たちが医師になれたとき、働き始める頃には日本の人口が減少していることが予想されているので、医師不足だからといって医師を増やせばいい、というわけでもないのだなと思いました。現在の医療からその先の医療までの問題点やその解決策を様々な視点から教えていただきました。この先、医療現場が大変になることを知って、私たち医療を目指す者が現状を受け止め、もっと頑張らなくてはいけないのだと使命感と責任感を感じました。また、日本の医療を改善していくためには、その場しのぎの案ではなく、もっと長いスパンで考える必要があるのだと改めて考えさせられました。


≪第4回≫

日本ではドナーが外国よりもはるかに少ないことがわかりました。日本独自の文化や宗教も関係していて、もし家族の誰かが脳死状態になってしまったとしても、家族がそれを「死」と受け止めるのは難しいと思います。また、もし心臓を移植できたとしても、術後に拒絶反応をおこさないために一生免疫を下げる薬を飲まなくてはいけなかったり、薬を飲んでも拒絶反応をおこしてしまったり、免疫が下がったことで他の感染症にかかってしまったりすることが問題点だと先生は話していました。その問題を解決するためには人工心臓の開発を進める必要があると聞いて、そういう医療への貢献の形もあるのだなと思いました。心臓移植には倫理的な問題や金銭的な問題、手術が成功しても術後のリスクが大きいという問題点があることを知りました。医療の発展のためにできることを、色々な視点から見つけていきたいです。

移植医療の現状、問題点に加えてその歴史についても教えていただき、大変参考になりました。医療は一歩間違えれば大きな事故になりうるということを改めて痛感させられました。現在は法の整備がされ、移植手術の数がだんだんと増えてきていると知りました。心臓は止めてから4時間以内に移植されないと使えず、また移植した後に拒絶反応が出て亡くなる方も多く、移植することにはリスクがともなうことが分かり、手術を受ける患者さんは本当に不安だろうと思いました



≪第5回≫

ディスカッション形式で災害時にすべき行動を考えることができた。私のグループは被災者という立場で支援する側に何をしてもらいたいのかを考えることができた。この講座で学んだことは、被災した時はどうしても自分のことを守ろうという気持ちになるが、その時とるべき行動を落ち着いて考え、近くの人とコミュニケーションをとって協力することが大事だと思った。メールができる状態の時は、周りの状況、欲しい物(食糧、防寒具など)、道路の使える場所など、必要最小限のことを伝える。三重県は医師、看護師不足と聞いたので、ぜひ三重県で働きたいと思う。

災害時における受援と支援についてのディスカッションをした。私のグループは受援の立場でスポーツ合宿をしている時に地震が起こったとき、何が想定されるのか、それに対してどう対応するのかについて話し合った。地震が起こってまず考えることは、衣食住について、またリーダーを決めること、1人で行動せず必ず複数人で行動することの大切さを知った。また、メールを送る際に短く、よく分かるようにするにはどういう文面にすればよいのか考え、自分なりの答えを見つけることができた。津市では救急車がどこの病院へ行くか決まるまでに1020分かかる事、生死を分ける患者さんを受け入れる救命救急センターがうまく機能していない現状を知った。



≪第6回≫

糖尿病についても目についても深く知ることができました。今まで糖尿病になって失明する人がいることは知っていましたが、その詳しい説明もしていただき、とても興味深かったです。それに加えて、三重大学についても教えていただき、さらに三重大学を志望する気持ちが大きくなりました。一番印象に残ったのは目の治療についてで、手術はとても小さな穴を通して行われることや、術後は自然にその穴が閉じていくのだと知り、とても驚きました。自分の目で疑問に思っていたことについても教えていただき、とても良かったです。

糖尿病に罹ったとき、以前は視力の低下を抑えるための治療だったのが、現在では視力を回復させることもできると聞いて医療の発達の著しさを感じました。失明の判断基準は必ずしも全く見えないということではなくて、日常生活に支障が出るレベルだという事を初めて知りました。女性医師の数が増加傾向にあることを、同じ女性として嬉しく思いました。家庭をもったときに、子育てや家庭生活における女性の負担により仕事を続けられなくなる、ということがないような社会全体の支えが必要だと思いました