赤目一ノ井松明調進行事

 今月11日、赤目一ノ井(いちのい)松明(たいまつ)調進行事の松明木の伐採と松明作りがおこなわれます。本校生徒も部活動単位で行事のお手伝いをする予定になっています。今回は、この行事について書きたいと思います。

 

 奈良・東大寺の二月堂では、春を告げる行事として「お水取り」がおこなわれています。「お水取り」は正確には修二会(しゅにえ)と言い、若狭井という井戸から観音さまにお供えをする「お香水(おこうずい)」をくみ上げる儀式で、その時の道明かりとして大きな松明に火が灯されます。この松明は、750年以上前から、名張市赤目町一ノ井で伐り出された松明を使用してきました。このための松明木の伐採と松明作りが毎年2月11日に赤目町の極楽寺で、3月12日には東大寺へ運ぶ行事がおこなわれます。

 

 名張市の西部は、平安時代には黒田荘(くろだのしょう)という荘園(簡単に言うと、当時の大きなお寺や神社などの領地)で、東大寺領でした。この黒田荘は、東大寺領板蠅杣(いたばえのそま)が発展して荘園になったものとされています。杣とは、お寺や神社などが持つ木材を伐り出すための領地で、東大寺は伊賀地域に多くの杣を持っていました。

 

 この名張にあった黒田荘は、歴史を勉強している人たちの間では非常に有名な荘園です。ここを研究した成果が、平安~鎌倉時代の村落の様子の基準になっていると言っても過言ではありません(ちなみに、石母田正氏が著した『中世的世界の形成』という本の中でくわしく触れられています。)。

 

 赤目一ノ井松明調進行事は、この黒田荘の名残と言えます。現在は名張市無形民俗文化財に指定され、その保存と継承が図られています。

 

 名張高校も、このような地元の伝統的行事に積極的に参加しています。今年は2月11日の伐採・松明作りから参加し、来月12日の運ぶ行事にも参加します。特に、来月12日の行事は古来より東大寺へ向かっていた道(笠間峠)を通って運びます。

 参加する生徒には、名張にしかない伝統文化を感じ、名張の地が築いてきた歴史を体感してほしいと思います。

(写真は昨年の様子です(写真提供:名張高校サッカー部顧問)。)

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